このプリントは医療従事者の監修のもと作成されたもので、あくまで自主トレーニングの補助資料です。無理のない範囲で行い、症状や痛みがある場合は医療機関に相談しましょう。
はじめに|表情筋を活用した口腔リハビリ素材の重要性
口腔機能の維持・改善は、高齢者や嚥下機能低下がみられる患者におけるリハビリテーションの重要な柱です。特に頬部や表情筋の活性化を図ることは、誤嚥予防や咀嚼・構音の改善に寄与するとされ、嚥下障害や構音障害に関わる専門職にとって有用な訓練の一つといえるでしょう。
本ページでは、頬部の筋力向上や唇・頬の閉鎖機能を高めることを目的とした「頬の膨らませ運動」のリハビリ用イラスト素材を無料でダウンロードできるように提供しています。自主トレ指導や患者様への家庭指導用プリントとして、ぜひご活用ください。
※本プリントは医療行為を目的としたものではありません。使用に際しては、体調や症状に応じて無理のない範囲で行ってください。
内容と目的|頬の膨らませ運動がもたらす機能的な意義
本素材で紹介する「頬の膨らませ運動」は、単純ながらも多くの臨床的メリットを有する訓練です。口腔内に空気をためて頬部を膨らませるという動作は、以下のような複数の機能向上に効果が期待されます。
◆ 主な目的
- 頬筋群(大頬骨筋、小頬骨筋、頬筋など)の筋力強化
→ 食塊形成や送り込みの際に必要な頬部の力を高めます。
- 構音明瞭度の向上
→ 頬筋と口唇の協調性を高め、明瞭な発語に寄与します。
- 表情筋の刺激による顔面活性化
→ 高齢者における表情の乏しさや口腔機能低下の予防に。
- 口腔内容物の漏出防止と誤嚥予防
→ 唇や頬の閉鎖圧の維持は、食事中の内容物コントロールに直結します。
こうした目的から、本素材はST(言語聴覚士)をはじめとしたリハビリ専門職にとって、外来・訪問・施設いずれの場面でも導入しやすい自主トレ指導プリントとして活用可能です。
運動方法と活用方法|誰でも取り組みやすい簡便な手順
本素材に含まれるイラストと説明文に従い、以下のステップで運動を行ってください。
◆ 基本姿勢
- 背筋を伸ばして椅子に座る
- 頭部は正中位、視線は正面
◆ 運動手順
- 口をしっかり閉じた状態を作る
- 鼻呼吸でゆっくりと息を吸う
- 口腔内に空気をためる
- 頬をふくらませて5秒程度キープ
- 息を鼻から静かに吐く
※動作は「吸気→保持→呼気」というサイクルで1回とし、体調や目的に応じて1回10セット程度を目安に実施します。
◆ 活用の場面
- デイサービスや通所リハビリでの体操前の準備運動
- 訪問リハビリにおける自主トレ指導
- 入院患者の離床促進後の口腔機能改善プログラム
- 構音訓練の一環として導入
イラスト付きプリントは説明しやすく、患者様の理解も得やすいため、特に高齢者に対しても継続しやすい運動となります。
注意点と安全への配慮|効果的かつリスクの少ない実施のために
運動自体は軽度でありながら、以下の点に留意して実施することでより安全かつ効果的な訓練となります。
◆ 実施時の注意点
- 口唇閉鎖をしっかり行い、空気漏れが起きないようにする
- 顎関節症の既往がある場合は注意し、専門職の判断のもと実施する
- 頬や口まわりの疲労感が強いときは無理せず休憩する
- 顔面神経麻痺などがある患者には、左右の動きのバランスを観察する
- 痛みや過度な疲労を伴う場合は中止し、回数を無理に増やさない
- 口腔乾燥が強い場合は、事前に口腔保湿や水分摂取を推奨する
これらのポイントを遵守することで、安全性を確保しながら口腔リハビリの質を高めることが可能です。
まとめ|口腔機能の維持・向上を支えるシンプルなアプローチ
頬の膨らませ運動は、嚥下リハビリや構音訓練における基本的かつ重要な要素を多く含んでいます。口腔周囲筋の強化や柔軟性の維持は、日常生活の質(QOL)向上に直結するため、患者への継続的な指導とモチベーション管理が重要です。
本ページにて提供している無料ダウンロード素材(イラスト付きプリント)は、視覚的にも理解しやすく、説明や実践において現場での汎用性が高い仕様となっています。リハビリ専門職の皆さまの臨床に、ぜひお役立てください。