本プリントは、記号と数字の対応関係を記憶し、それを思い出して答えることで、ワーキングメモリやエピソード記憶のトレーニングを行うための認知課題(その②)の 解答 です。
高次脳機能障害や軽度認知障害、脳血管疾患後の注意・記憶障害に対するリハビリ、または高齢者の認知機能維持や予防的アプローチの一環として、現場で即活用できるようにしています。
このプリントの問題に関しては、以下のリンクからダウンロードできます。

■ プリントの構成と課題内容
このプリントは、記号と数字のペアを一時的に覚え、それを思い出して正しく答える形式の課題です。
ステップ1:記憶(覚える)
まずは以下の「記号と数字のペア(対応関係)」を記憶してもらう
- 〇 = 1
- △ = 2
- □ = 3
- ✕ = 4
- 台形 = 5
対象者にはこの5つのペアを数十秒~1分程度で記憶してもらうように促します。
ステップ2:再生(思い出す)
記憶を促す内容を隠した状態で、以下のような問題が出題されます:
- 〇 = ?
- □ = ?
- ✕ = ?
など、提示された記号に対し、対応する数字を思い出して記入していく形式です。
記憶を呼び起こす作業を通して、「覚える → 保持する → 想起する」という一連の記憶プロセスを強化できます。
■ トレーニングの目的と効果
このプリントは、以下のような記憶関連の認知機能強化に焦点を当てています
◎ ワーキングメモリの強化
短期間に覚えた情報を、一時的に保持しながら使用する能力を高めます。これは日常生活における指示理解や段取り行動に直結します。
◎ エピソード記憶の活性化
新しい情報を覚え、それを思い出すプロセスを通して、脳の海馬領域の活性化が期待できます。
◎ 注意機能の向上
記号と数字のペアを正確に記憶するには、集中力・選択的注意も必要となるため、注意障害への介入にも有効です。
◎ 柔軟性のある応用
難易度を調整することで、軽度認知障害から中等度の記憶障害まで、幅広い対象に対応可能です。
・対象者の状態に応じて、記憶する時間を延長・短縮することで難易度を調整できます。
・「まず3ペアから」「慣れたら10ペア」など段階的に課題量を増やすことで達成感を維持できます。
・思い出せなかった場合も、再度記憶フェーズに戻ることで反復学習の効果を得られます。
・間違った箇所を一緒に確認することで、フィードバックの質が向上し、記憶の定着にもつながります。
■ 使用上の注意点とアドバイス
- 負担をかけすぎないよう、1回のセッションは10〜15分程度を目安に実施してください。
- 対象者の特性に合わせ、視覚だけでなく聴覚や触覚も組み合わせた指導(例:声に出して読む、記号を指差すなど)を工夫すると効果的です。
- 「覚えられた!」という成功体験を大切にし、達成感や自信を引き出す関わりを心がけてください。
■ 対象者例
- 高次脳機能障害(注意・記憶障害)の方
- 軽度認知障害(MCI)と診断された高齢者
- 脳卒中や外傷性脳損傷の後遺症による認知機能低下を認める方
- デイケアや通所リハビリでのグループ活動時の頭の体操として
- 予防的な認知機能トレーニングを希望される方
■ 最後に
本プリントは、ただの暗記課題ではなく、生活に直結する「記憶力・集中力」を支えるためのリハビリツールです。単調になりがちな記憶課題においても、視覚的にわかりやすい記号と数字を使うことで、楽しく・前向きに取り組むことができます。
専門職による評価・指導の場面でも、または在宅での自主トレーニングとしても、活用しやすい内容です。利用者の認知状態や目標に応じて、柔軟に取り入れてみてください。
今後、バリエーションとして記号の数や形、色、配置を変えた応用プリントも随時追加予定です。ぜひ継続的にご利用ください。