病棟安静度表(サンプル記載例付き)を用意しました。
患者さんの活動範囲や移動可否をスタッフ間で「見える化」することで、転倒予防や早期離床の推進 に役立つツールです。
・ チーム全体で一貫した指示を出すために
・ 新人スタッフや夜勤帯でも安心して確認できるように
・ 患者さん・ご家族への説明資料としても
記載例は以下の画像を参照して、院内の実情に合わせてご活用ください。
このプリントは医療従事者の監修のもと作成されたもので、あくまで自主トレーニングの補助資料です。無理のない範囲で行い、症状や痛みがある場合は医療機関に相談しましょう。
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はじめに|病棟リハビリを支える“見える化”ツールとは?
病棟におけるリハビリテーション支援では、患者さんの安静度や活動制限に関する情報を医療チーム全体で正確かつ効率的に共有することが非常に重要です。
とくに多職種が関与する現場では、リハビリスタッフだけでなく看護師や介護職、医師なども共通認識を持つことで、転倒予防や早期離床の推進、安全なケア提供に直結します。
今回、リハハウスでは【病棟安静度・ADL早見表(記載例付き)】を無料イラスト付きでご用意しました。
このプリントは、環境設定、移動能力、食事動作、排泄動作の4項目にわけて安静度を「見える化」するツールであり、新人スタッフの業務補助や、患者・ご家族への説明資料としても活用可能です。
※本プリントは医療行為を目的としたものではありません。使用に際しては、体調や症状に応じて無理のない範囲で行ってください。
内容と目的|4項目に分類された“病棟安静度表”の概要と目的
本プリントは、以下の4つの側面において、患者の現状を視覚的に整理・共有できるよう設計されています。
1. 環境面の安静度評価
- ベッド柵(4点柵/3点柵)
- 離床センサー(センサーマット、ミトン、体幹ベルトなど)
病棟での事故リスクを低減するには、まず「環境条件」が整理されていることが大切です。
スタッフが一目で使用中の安全装置を確認できることで、転倒リスクの把握や介入の判断がスムーズになります。
2. 移動面のADL評価
- 移動手段(独歩、杖歩行、歩行器、車椅子)
- 自立度(自立/見守り/介助)
移動動作の評価は、リハビリ職にとって不可欠です。とくに日勤・夜勤・交代勤務の多い現場では、「どの移動方法で、どの程度の支援が必要なのか」が一目で分かるこの表は大きな力を発揮します。
3. 食事面の評価
- 姿勢(ヘッドアップ座位/ベッド座位/車椅子座位)
- 介助量(自立/見守り/介助)
- 食具(箸/スプーン/自助具)
食事場面では、姿勢と使用食具の情報も重要です。とくに嚥下機能や誤嚥リスクへの配慮が必要な患者には、正確な情報共有が欠かせません。
4. 排泄面の評価
- 排泄方法(オムツ/ポータブルトイレ/共同トイレ)
- 自立度(自立/見守り/介助)
- 介助内容(移乗/下衣操作/清拭)
排泄動作はプライバシーや尊厳に関わる領域でありながら、介助内容によって転倒や感染のリスクも大きく左右されます。明確な共有は、患者の尊厳を守りつつ、スタッフの介入判断を的確にします。
このように、本ツールは各患者のADLを網羅的に把握し、スタッフ間で迅速かつ適切に対応を決定するための“道しるべ”となります。
活用方法|記載例を参考に現場に合わせてカスタマイズ可能
本プリントには、記載例のサンプルを添付しております。
実際の運用では、患者ごとの実情に応じて〇印などで項目を選択し、各欄に記載することで、日々の申し送り・カンファレンス・引き継ぎなどの業務に活用できます。
活用のポイント
- 個別性の尊重
各病院・施設のルールや文化に応じてアレンジ可能です。
- 教育ツールとして
新人教育時の指導教材としても非常に有効です。
- 多職種間の連携強化
言語化が難しい身体状況を視覚的に示すことで、医師・看護師・PT・OT・ST・介護職間の理解が進みます。
- 家族説明ツールとしても
視覚的なイラストと構成により、家族への説明にも活用できます。
注意点と安全への配慮|ツール活用時に気をつけるべきこと
病棟安静度表は、現場での連携を助ける一方で、正しく使用しなければ誤解を生む恐れもあります。以下の点に配慮してください。
- 定期的な更新が必要
状態変化に応じて記載内容を見直し、古い情報を放置しないようにしましょう。
- 記載の責任者を明確に
誰が記載した情報かが曖昧になると、現場で混乱が生じる可能性があります。
- あくまで補助ツール
このプリントは判断支援を目的とするものであり、最終的な臨床判断はスタッフの観察と判断に基づくべきです。
- 個人情報の管理に注意
記入した情報を掲示・共有する場合には、患者のプライバシー保護に十分配慮しましょう。
まとめ|“伝える”から“共有する”へ。リハビリの質を高める支援ツール
病棟におけるADLや安静度の情報は、文字情報だけで伝えるには限界があります。
今回ご紹介した「病棟安静度・ADL早見表」は、イラストを交えた視覚的な情報共有ツールとして、リハビリ職を含む多職種の現場支援に役立ちます。
- 新人スタッフの補助に
- チーム連携の強化に
- 患者・家族との円滑なコミュニケーションに
このような多面的な活用が可能なツールを、ぜひ現場でお役立てください。
素材は無料でダウンロード可能ですので、院内カスタマイズのベース資料としてご利用いただけます。