【無料ダウンロード】サイコロを使った計算課題|高次脳機能障害リハビリ・在宅自主トレプリント

 

目次

はじめに

高次脳機能障害や脳卒中後の認知機能低下では、注意機能や遂行機能、計算能力の低下がみられることがあります。これらの機能は、日常生活での金銭管理や予定の把握、買い物、時間感覚などにも深く関わっており、リハビリの中で継続的に訓練していくことが重要です。

今回紹介する【無料ダウンロード】プリントは、サイコロをモチーフにした簡易的な計算課題です。2つ並んだサイコロの目を見て、その合計を答える内容で、課題は全6問構成となっています。

このプリントは、単なる「計算ドリル」ではなく、視覚認知・注意の持続・情報処理速度を同時に鍛えることを目的としています。臨床場面の個別リハビリはもちろん、在宅での自主トレーニング教材としても使いやすく設計されています。

※本プリントは医療行為を目的としたものではありません。使用に際しては、体調や症状に応じて無理のない範囲で行ってください。


内容と目的|サイコロを使った視覚的計算・注意集中トレーニング

■ 課題の概要

このプリントには、2つのサイコロが並んだイラストが6組描かれています。
対象者は、それぞれのサイコロの目を確認し、2つの合計を計算して答えを記入します。一見シンプルな課題ですが、実際には以下のような複数の認知要素が同時に働きます。

  • サイコロの「目の配置」を瞬時に把握する視覚認知力
  • 2つの数を保持して合計するワーキングメモリ(作業記憶)
  • 正確に合計を導くための計算処理速度・注意力

このように、数字を扱う訓練でありながら、注意機能・遂行機能・記憶機能を包括的に刺激する構成となっています。


■ リハビリ目的

  1. 注意力と集中力の向上
    サイコロの目を素早く数え、合計を求める過程で、持続的注意や選択的注意を鍛えることができます。
     
  2. 遂行機能の強化
    「見る→数える→足す→書く」という一連の手順を自分で順序立てて行うことで、遂行機能が自然に促されます。
     
  3. ワーキングメモリ(作業記憶)の訓練
    頭の中で数値を保持しながら合計を出す作業は、短期記憶の強化に直結します。特に、情報の一時保持と更新を必要とする前頭葉機能訓練として有効です。
     
  4. 情報処理速度の改善
    繰り返し行うことで、視覚的な情報を数値に変換するスピードが向上し、処理の速さと正確性をバランス良く鍛えることができます。
     
  5. 動作性知能の支援
    数値だけでなく、イラストから情報を読み取る課題構造は、動作性知能の向上にもつながります。

運動方法と活用方法|臨床・在宅での実践的な使い方

■ 基本的な実施手順

  1. 課題提示
    プリントを見せながら「2つのサイコロの目を見て、合計の数を書いてください」と説明します。
    視覚に偏りがある場合は、指でサイコロの位置を指し示しながら確認しても構いません。
     
  2. 解答フェーズ
    各ペアを順番に確認し、サイコロの目を数えた後、その合計を解答欄に記入します。
    慣れてきたら、制限時間(例:30秒)を設けてスピードと正確さを意識させると、注意持続の訓練にもなります。
     
  3. 答え合わせとフィードバック
    計算結果を一緒に確認し、間違えた箇所を振り返ります。
    「左のサイコロを数え間違えた」「片方だけ見落とした」など、エラーの傾向分析を行うと、より精度の高い訓練が可能です。

■ 臨床現場での活用

  • 作業療法(OT)での使用
    個別訓練や集団リハビリの中で導入しやすい内容です。
    サイコロという視覚的要素を使うことで、数字に苦手意識がある方でも取り組みやすく、動機づけ効果も高まります。
     
  • 注意障害や遂行機能障害の訓練
    高次脳機能障害を有する対象者に対して、視覚探索や処理速度の改善を目的として活用可能です。
    作業記憶課題としての活用や、他の認知訓練課題(例:図形記憶、数字並べ)と組み合わせることも効果的です。
     
  • 難易度の調整
    初級:サイコロの数を2個固定で、合計を答える形式(本プリント)。
    中級:3つのサイコロに増やす、または異なる形状のサイコロを導入。
    上級:合計値だけでなく、「どちらのサイコロが大きいか」を判断する比較課題に発展させる。

■ 在宅での自主トレーニング

本プリントは家庭でも簡単に実施できる構成です。ペンが使えない場合は、指さしや口頭回答でも効果があります。

家族が横で「合計はいくつ?」「早かったね!」と声をかけながら進めることで、コミュニケーションを取りながら訓練を楽しむことができます。また、同じプリントを繰り返し行うことで、注意持続時間の変化や誤答傾向の減少を確認できます。在宅リハビリとしては、1日1~2枚を目安に、短時間で集中して取り組むスタイルが理想です。


注意点と安全への配慮|指導・自主練習時の留意点

  1. 過度な負荷を避ける
    認知的疲労が生じやすいため、最初は3問程度から始め、集中力を維持できる範囲で行いましょう。
     
  2. 間違いを指摘しすぎない
    正答率よりも「考えるプロセス」を重視します。間違いの原因を一緒に振り返り、次回につなげるポジティブな声かけを心がけます。
     
  3. 姿勢・環境の整備
    明るい照明と静かな環境を整え、疲れにくい姿勢で実施します。
    机上で行う際は、利き手や視野の偏りに応じてプリントの配置を調整します。
     
  4. 安全への配慮
    疲労や集中力の低下がみられた場合は即時中止し、休憩を挟みます。
    また、文字記入が困難な方には、口頭での回答や介助者による代筆を推奨します。

まとめ|シンプルな構成で多面的に鍛える認知リハビリ教材

この【無料ダウンロード】サイコロ計算リハビリプリントは、注意機能・遂行機能・作業記憶・処理速度を同時に訓練できる汎用性の高い教材です。

  • サイコロという視覚的モチーフで、数字に苦手意識がある方でも楽しく実施可能
  • 個別リハから在宅リハまで幅広く活用できる設計
  • 認知負荷を段階的に調整しながら継続的トレーニングが可能

シンプルでありながら、認知機能の維持・改善に効果的なアプローチとして多職種で活用できる内容です。
ぜひ、臨床現場や自主トレーニングに取り入れ、対象者の認知リハビリの一助としてご活用ください。


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