【無料ダウンロード】半側空間無視課題プリント|高次脳機能リハビリに活用できる図形探索イラスト素材(25図形ランダム配置)その③

このプリントは医療従事者の監修のもと作成されたもので、あくまで自主トレーニングの補助資料です。無理のない範囲で行い、症状や痛みがある場合は医療機関に相談しましょう。

 

目次

はじめに|高次脳機能リハビリにおける半側空間無視の重要性

高次脳機能障害の中でも特に臨床現場で頻繁に見られるのが半側空間無視です。これは、脳の一側(多くは右半球)が損傷されることにより、反対側(左側)の空間に対する注意が著しく低下する状態を指します。

日常生活の中では、皿の片側の食事を残す、着衣が一部しか整っていない、歩行中に片側の障害物に気づかず接触するなど、生活の質を大きく損なう症状です。

このような問題に対しては、視覚探索課題や注意機能の訓練を取り入れたリハビリテーションが効果的です。今回ご紹介する「図形探索型プリント課題」は、無視側への注意を自然に促しながら、探索力・識別力・認知処理能力をバランス良く鍛えることを目的とした教材です。

リハハウスでは、本課題を無料でダウンロードできるイラスト付きプリントとして提供しています。

※本プリントは医療行為を目的としたものではありません。使用に際しては、体調や症状に応じて無理のない範囲で行ってください。


内容と目的|25個の図形から特定の形を探し出す認知課題

このプリント課題では、25個の図形がランダムに紙面上に配置されており、その中から以下の3つの図形を探し、丸をつけてチェックすることが目的です。

  • L字型の図形:4個
  • V字型の図形:5個
  • プラス型の図形:4個
  • その他の紛らわしい図形(3種):12個

図形の配置はランダムで、左右どちらかに偏りが生じないように設計されています。視覚的注意力を最大限に引き出し、探索範囲の広がりを促す内容です。

この課題を行う目的は以下の通りです

  • 半側空間無視の軽減
    無視側への注意を促すことで、視覚探索の偏りを是正します。
     
  • 選択的注意力の向上
    類似した図形が混在する中で、目標図形を識別するための認知処理を活性化します。
     
  • 視空間認知と遂行機能の訓練
    探索・判断・マーキングという一連の動作を通して、高次脳機能全体を刺激します。
     
  • ADL(日常生活動作)への応用
    認知改善は、日常生活における衣類の確認や食事の完食、障害物回避などの向上にもつながります。

運動方法と活用方法|プリント課題の進め方と臨床での応用例

◆基本的な実施手順

  1. プリントの準備
    A4サイズのプリントに、L字・V字・プラス型・その他の図形が計25個ランダムに配置されています。
     
  2. 指示を明確に伝える
    「紙にある図形の中から、L字型、V字型、プラス型を探して、見つけたら丸で囲んでください」と説明します。
     
  3. 課題を実施
    利き手でペンを持ち、視野全体を探索しながら、対象図形に丸印をつけます。
    無視側(多くは左側)に対して「左側もよく見てみましょう」などの声かけを行うと効果的です。
     
  4. 評価とフィードバック
    指定された図形の見落とし箇所を確認し、無視の有無や傾向を視覚的に評価します。
    所要時間を記録することで注意持続力の指標にもなります。

◆臨床現場での活用例

  • 認知機能評価ツールとしての利用
    初回評価時や定期評価として使用することで、左右の探索能力や認知処理の速度を把握できます。
     
  • 個別リハビリの課題設定として
    他の視覚課題と組み合わせて活用することで、より効果的な訓練が可能となります。
     
  • 症状に応じた難易度調整
    ・指定図形数を増減する
    ・図形の配置間隔を狭くする
    ・図形の回転を加える などの調整により、段階的なステップアップが実現できます。

◆在宅リハビリや自主トレでの使用

この課題は、自宅でも取り組める内容のため、家族や介護者と一緒に取り組むことが可能です。

  • 1日1セット(5〜10分)から開始
  • 見つけた図形数を記録して経過を追跡
  • タイマーを活用し所要時間を測定

こうした工夫により、本人のモチベーション維持や改善度の可視化が図れます。


注意点と安全への配慮|訓練時に意識しておくべきこと

  • 実施前の確認
    視力補正(眼鏡など)や照明環境を整え、図形が正しく認識できる状況を確保しましょう。
     
  • 探索範囲の偏りに配慮
    特に左側の図形を見落としがちな場合には、訓練前に意識的に注意を向けさせる声かけが効果的です。
     
  • 短時間で終える設計
    長時間の課題は疲労や集中力低下を招くため、1回の訓練は10分以内を目安とします。
     
  • 過剰な反復を避ける
    継続は大切ですが、負荷がかかりすぎると逆効果になる可能性もあるため、日々の状態に応じて実施頻度や内容を調整してください。

まとめ|視覚探索力と注意力を育む図形課題で、より良いリハビリを

今回紹介した「L字・V字・プラス型の図形を探すプリント課題」は、視覚探索力や注意機能を高めるためのシンプルかつ実践的なリハビリツールです。図形の違いを識別することで、視空間認知・選択的注意・遂行力など、高次脳機能を幅広く刺激できます。

リハハウスでは、この課題を無料でダウンロードできるプリント教材として提供しており、臨床現場や在宅支援、施設での活用に最適です。

高次脳機能障害や半側空間無視へのアプローチとして、ぜひこの図形探索課題を現場に取り入れてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次