【無料ダウンロード】果物を数える注意・記憶リハビリプリント|高次脳機能障害・自主トレに使えるイラスト教材 ①

 

目次

はじめに

高次脳機能障害では、注意障害や記憶障害が日常生活動作(ADL)の遂行に大きく影響することが知られています。特に、「数える」「探す」といったシンプルな課題であっても、対象物の見落としや、途中で数がわからなくなるなどの困難がしばしば観察されます。

今回紹介する【無料ダウンロード】プリントは、果物のイラストを数える記憶・注意トレーニング課題です。
りんご、バナナ、ぶどうの3種類の果物が描かれており、それぞれの個数を数えて記入するというシンプルな構成になっています。

見た目は遊びのようですが、この課題では「注意の持続」「視覚的探索」「短期記憶」のすべてが関与します。臨床現場では、注意機能・選択的注意・ワーキングメモリの訓練教材として有用です。また、在宅での自主トレーニングにも取り入れやすく、対象者の興味を引きやすい教材です。

※本プリントは医療行為を目的としたものではありません。使用に際しては、体調や症状に応じて無理のない範囲で行ってください。


内容と目的|果物を数える注意・記憶トレーニング

■ 課題の概要

このプリントでは、画面内に15個の果物イラストがランダムに配置されています。
果物は「りんご」「バナナ」「ぶどう」の3種類です。
それぞれの個数は以下の通りです。

  • りんご:5個
  • バナナ:3個
  • ぶどう:5個

対象者は、これらの果物を一つひとつ視覚的に探索し、正確に数えて記入欄に数字を書くという手順で課題を行います。見た目は簡単に見えますが、実際には「視覚探索 → 情報保持 → 筆記動作」という複数の認知過程を同時に必要とするため、注意・記憶・遂行機能を総合的に刺激する構成になっています。

■ リハビリ目的

  1. 選択的注意の強化
    複数の刺激の中から、指定された果物だけを見分けることにより、不要な情報を抑制しながら必要な情報を選択する力を養います。
     
  2. 視覚的注意と探索能力の改善
    広い範囲のイラストの中で特定の対象を探すため、空間的注意と探索能力を訓練します。半側空間無視などの視覚的偏りがある方にも活用可能です。
     
  3. 短期記憶(ワーキングメモリ)の活性化
    数を一時的に保持しながら作業を進めることで、記憶保持・更新の練習になります。
     
  4. 遂行機能・自己モニタリングの向上
    「どこまで数えたか」「まだ確認していない場所はどこか」といった自己監視能力を育てます。
     
  5. 在宅自主トレーニングへの応用
    難しい説明や器具を必要とせず、印刷してすぐに使用できるため、家庭での認知トレーニングにも適しています。

このように、果物を数えるという一見単純な課題でも、多面的な認知機能の評価・訓練につながります。


運動方法と活用方法|実践手順と応用例

■ 基本的な実施手順

  1. 課題の説明
    対象者にプリントを提示し、「この中にいろいろな果物が描かれています。りんご・バナナ・ぶどうがそれぞれ何個あるか数えて、数字を書いてください」と説明します。
     
  2. 視覚探索フェーズ
    まず全体を見渡して配置を把握し、どの位置にどの果物があるかを確認します。
    注意が偏る傾向がある場合は、「左から順に見ましょう」「上から順番に探しましょう」といった指示を加えます。
     
  3. カウント・記入フェーズ
    対象者は果物を数えながら、記入欄に個数を書きます。
    言語表出を促したい場合には、「りんごが1、2、3…」と声に出して数えるよう指導すると効果的です。
     
  4. 答え合わせ
    課題終了後に、指導者が正答(りんご5・バナナ3・ぶどう5)を提示し、結果を一緒に確認します。
    誤りがあった場合は、「見落とした場所を一緒に確認しましょう」といった肯定的フィードバックを行います。

■ 活用の応用例

  • 臨床現場での活用
    作業療法や言語療法など、認知リハビリテーションの一環として活用可能です。注意障害、記憶障害、遂行機能障害の評価・訓練に応用できます。課題実施中の「視線の動き」「探索の順序」「自己修正の有無」を観察することで、認知プロセスの質的評価にもつながります。
     
  • 在宅での自主トレーニング
    印刷して家族と一緒に取り組むことができます。慣れてきたら、果物の種類を増やす・配置を変える・時間制限を設けるなど、難易度を段階的に調整することも可能です。
     
  • 小児や高齢者にも対応可能
    果物という親しみやすいテーマであり、イラストが視覚的にわかりやすいため、年齢層を問わず実施できます。介護予防や発達支援の現場でも、楽しく続けられる認知トレーニングとして利用できます。

注意点と安全への配慮|指導・自主練習時の留意点

■ 実施時の注意点

  1. 短時間・低負荷から開始する
    初回は5分程度を目安に実施し、集中力が続く範囲で行います。
    課題の正確性よりも、「探してみる」「注意を向ける」ことを目的としましょう。
     
  2. 成功体験を重視
    「全部見つけられた」「前回より速くできた」など、達成感を感じられるフィードバックを与えることで、モチベーションの維持につながります。
     
  3. 注意力の偏りに配慮
    半側空間無視や視覚的無視傾向がある場合、対象者が苦手な方向から探索を始める練習を行うなど、訓練目標に応じた修正を加えましょう。
     
  4. 視覚疲労への配慮
    イラストの見分けやすさを確保し、長時間の連続実施は避けます。必要に応じて、課題間に休憩を入れましょう。

■ 在宅練習時の安全・配慮事項

  • 疲労や集中力低下が見られた場合は中止
     
  • 家族がサポートし、声かけで支援
     「ここにもあるね」「もう一回確認してみよう」など、前向きな関わりが効果的です。
     
  • 難易度の調整を忘れずに
     初級者は果物の種類を減らし、上級者は時間制限を設けるなど段階的に行いましょう。

まとめ|果物を使った楽しく実用的な注意・記憶トレーニング

この【無料ダウンロード】果物数えプリントは、高次脳機能障害における注意障害・記憶障害のリハビリ教材として非常に有用です。

  • 選択的注意・視覚探索・短期記憶を同時に刺激
  • 臨床・在宅いずれの場面でも活用可能
  • イラスト付きで対象者の興味を引きやすい

また、シンプルな構成ながら、難易度調整や応用が容易である点も大きな利点です。
継続的なトレーニングを通じて、日常生活での注意力・記憶力の向上、遂行能力の安定化が期待されます。

ぜひ、臨床指導・家庭での自主トレーニングにご活用ください。

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