このプリントは医療従事者の監修のもと作成されたもので、あくまで自主トレーニングの補助資料です。無理のない範囲で行い、症状や痛みがある場合は医療機関に相談しましょう。
はじめに|むくみ予防の重要性と本素材の活用意義
術後や外傷後のリハビリテーションにおいて、「浮腫(むくみ)」の予防と管理は極めて重要な課題です。
上肢のむくみは関節可動域の制限や筋力低下、慢性の循環障害につながる可能性があり、早期からのアプローチが求められます。
今回リハハウスが提供する「むくみ予防 ポジショニング(上肢/手指)」素材は、術後や安静時のセルフケア・介入支援ツールとして活用できる無料のイラスト素材です。視覚的にわかりやすく、患者指導用の配布資料としても便利な内容となっています。
※本プリントは医療行為を目的としたものではありません。使用に際しては、体調や症状に応じて無理のない範囲で行ってください。
内容と目的|上肢のポジショニングで浮腫を予防する
本素材では、以下の内容を視覚的に示しています
- 上肢、手指のむくみ予防のための基本的なポジショニング
- クッションや枕を使った具体的な配置例
- 術後ケアにおける基本的な注意点
本素材の目的
- 術後の上肢浮腫の予防
手術直後や長時間の臥床後など、静脈やリンパ還流が停滞しやすい状況下において、重力を活用したポジショニングによって循環を促進します。
- 循環機能の維持と関節拘縮の予防
適切なポジショニングは、筋・腱の緊張を抑え、拘縮リスクを軽減します。機能的肢位の維持にも有効です。
- 安全かつ自立支援につながるセルフ管理支援
患者自身が家庭でできるむくみ予防の一助となるよう、専門用語を控えた直感的な構成となっています。
方法と活用方法|誰でも実践できる簡単なポジショニング
基本的な方法
- 準備物
- クッション、枕、またはバスタオルを丸めたものなど
- 清潔で柔らかく、安定した形状のものを選びます
- 実施手順
- 仰臥位または座位で安静を取る
- 術側の上肢全体を、心臓より高い位置に保持できるようクッションを配置
- 肘から手先にかけてが水平〜やや上向きになるように調整
- 手関節や指が過伸展・過屈曲しないよう中間位を意識
- 推奨実施時間
- 30分〜1時間を目安に1日数回実施
- 長時間固定にならないよう、定期的に姿勢変換を取り入れる
活用場面の例
- 手術後の病棟や在宅での指導
- 脳卒中後の上肢浮腫予防
- 乳がん術後リンパ浮腫のリスク管理
- 片麻痺側上肢の循環促進
本素材を患者指導資料として用いることで、言葉だけでは伝えにくいポジショニングの注意点を視覚的に理解してもらうことが可能になります。
注意点と安全への配慮|リスクを避けるために
ポジショニングは有効な手段である一方で、誤った実施による二次障害のリスクもあるため、以下の点には特に配慮が必要です。
実施上の注意点
- 心臓より高い位置か確認
肘や手が胸の高さより低い場合は、効果が限定される場合があります。
- 圧迫を避ける
血流を妨げるようなクッションの配置やきつすぎる包帯などは逆効果です。
- 皮膚の観察を行う
長時間の同一姿勢は、褥瘡や皮膚トラブルのリスクがあります。赤みや圧痕が残っていないか観察しましょう。
- 肩の引き込みや肩甲骨の位置に注意
特に仰臥位では、肩関節の前方偏位や肩甲骨の浮き上がりが起こりやすく、適切な支持が求められます。
- 患者の主観的な違和感に耳を傾ける
素材の活用中に「違和感」や「疲労感」がある場合は、速やかに姿勢を変えるように促しましょう。
まとめ|浮腫予防はリハビリ効果を高める第一歩
「むくみ予防 ポジショニング(上肢/手指)」は、リハビリテーションの初期段階における重要な支援素材です。簡単な道具で誰でも実施でき、患者・家族ともに理解しやすい構成のため、医療現場から在宅まで幅広く活用可能です。
浮腫の予防は、リハビリのスタートラインに立つための環境づくりともいえます。素材を効果的に用い、患者の身体的負担を軽減しながら、早期の機能回復を支援していきましょう。
リハハウスでは、今後も臨床に直結した素材を継続的に配信してまいります。自主トレーニングや指導支援にぜひご活用ください。