上腕三頭筋・肩甲骨のストレッチ

このプリントは医療従事者の監修のもと作成されたもので、あくまで自主トレーニングの補助資料です。無理のない範囲で行い、症状や痛みがある場合は医療機関に相談しましょう。

 

目次

はじめに|肩甲骨と上腕三頭筋の柔軟性が機能改善に与える影響

肩甲骨および上腕三頭筋は、上肢の運動に深く関与する重要な部位です。特に上肢の伸展や肘の伸展動作、さらには体幹との協調運動においても関節可動域や筋の柔軟性は大きな影響を与えます。術後の可動域制限や加齢による柔軟性低下、慢性的な筋緊張は、肩関節障害や肩甲帯機能不全につながることがあります。

今回ご紹介する「上腕三頭筋・肩甲骨のストレッチ」は、これらの機能維持および改善を目指す自主トレ素材です。ストレッチの実施により、関節可動域の改善、筋緊張の緩和、姿勢保持能力の向上など、幅広い効果が期待できます。

この記事では、素材の意図や効果、実施方法、注意点を詳細に解説し、臨床現場や在宅リハビリにおいて有効に活用いただける内容としています。

※本プリントは医療行為を目的としたものではありません。使用に際しては、体調や症状に応じて無理のない範囲で行ってください。

内容と目的|上腕三頭筋・肩甲骨ストレッチの臨床的意義

内容の概要

このストレッチ素材では、以下の筋群および構造に対するアプローチを目的とした動作を取り入れています。

  • 上腕三頭筋の伸張
  • 肩甲骨周囲筋(僧帽筋、広背筋、大円筋など)のストレッチ
  • 胸郭の柔軟性向上
  • 肩関節屈曲位での肩甲帯可動性改善

主な目的

  1. 上腕三頭筋のストレッチによる肘伸展運動の改善
    特に長頭へのアプローチにより、肩関節の動きも含めた複合的な柔軟性向上が期待されます。
     
  2. 肩甲骨周囲筋の柔軟性向上
    肩甲骨の自由な可動性を得ることは、肩甲上腕リズムの正常化と、リーチ動作の改善に直結します。
     
  3. 胸郭の可動性維持・拡大
    胸郭の柔軟性は、呼吸機能や上肢・体幹の連動性に深く関与します。本ストレッチでは、胸郭周囲の筋へも間接的にアプローチが可能です。
     
  4. 拘縮・可動域制限の予防
    可動域制限の早期予防を目的として、特に術後や拘縮リスクの高い方への自主トレとして有効です。

運動方法と活用方法|臨床での応用や在宅リハビリに活かす

実施方法

  1. 開始姿勢
     立位または椅子に座った状態で、背筋を伸ばして姿勢を整えます。
     
  2. ストレッチ動作
    • 一側の上肢を頭上に挙上し、肘を屈曲させて手を背中側に下ろします。
    • 反対側の手で屈曲した側の肘頭(肘の先端)を持ち、ゆっくりと斜め下方向に引き下げます。
    • 肘が頭部の真後ろに来るような位置でストレッチ感を維持します。
       
  3. 保持・復位
    • ストレッチした姿勢を15〜30秒間保持し、その後ゆっくりと元の姿勢に戻します。
    • 左右交互に1〜3セットを目安に行います。

活用シーン

  • 整形外科術後(肩関節周囲炎、腱板損傷術後など)の自主トレ指導
  • 通所リハビリテーションや訪問リハでの自宅運動支援
  • 高齢者の拘縮予防としての肩甲帯の柔軟性向上プログラム
  • 呼吸機能改善を目的とした胸郭ストレッチの一環として

本ストレッチは、柔軟性向上だけでなく筋緊張緩和や姿勢改善にもつながるため、幅広いリハビリ現場での応用が可能です。

注意点と安全への配慮|安全かつ効果的な実施のために

呼吸を止めない

動作中に息を止めることで血圧上昇や筋緊張の増加が起こる可能性があります。自然な呼吸を維持しながらストレッチを行うことが、安全かつ効果的な実施には不可欠です。

ゆっくりした動作を意識する

反動をつけたり急激に引っ張ると、筋や腱への負荷が過度となる危険性があります。ゆっくりとした、コントロールされた動作で行うように指導してください。

疼痛に応じた調整を行う

既存の肩関節障害や拘縮、疼痛がある場合には、無理に伸ばそうとせず痛みの出ない範囲で実施することが重要です。疼痛が強く出る場合は、専門職による評価と段階的な導入が推奨されます。

肩関節の位置に注意する

肘を屈曲して手を背中に下ろす動作では、肩関節の過伸展や代償動作が生じやすくなります。体幹が傾かないよう姿勢保持を意識しながら行うことが望まれます。

まとめ|肩甲骨・上腕三頭筋の柔軟性向上で上肢機能を高める

「上腕三頭筋・肩甲骨のストレッチ」は、上肢機能の維持・向上に欠かせない要素である筋柔軟性と関節可動性の改善に効果的な自主トレ素材です。特に肩甲帯と上腕三頭筋に焦点を当てることで、リーチや衣服の着脱、洗髪動作など、日常生活動作(ADL)の改善にも寄与します。

このストレッチは、整形外科疾患後、脳血管疾患後、筋緊張の高い対象者、高齢者など幅広い対象に対して有用であり、在宅や施設リハビリの現場において継続的な運動習慣をサポートするツールとして活用できます。

ぜひ、現場での自主トレ指導の一環としてご活用ください。

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