このプリントは医療従事者の監修のもと作成されたもので、あくまで自主トレーニングの補助資料です。無理のない範囲で行い、症状や痛みがある場合は医療機関に相談しましょう。
はじめに|手関節掌屈ストレッチとは
手関節の柔軟性は、日常生活における多くの動作に関与しており、掌屈(手のひら側に手首を曲げる動き)は特に重要な機能の一つです。食器を持つ、衣服の着脱、書字やPC操作といった基本動作には、掌屈可動域の保持が欠かせません。
本記事では、手関節掌屈の可動域維持および前腕伸筋群の柔軟性向上を目的とした「手関節掌屈ストレッチ」素材をご紹介します。自主トレーニングや施設内指導の補助教材として活用しやすいよう、わかりやすいイラスト付きで無料提供しています。
※本プリントは医療行為を目的としたものではありません。使用に際しては、体調や症状に応じて無理のない範囲で行ってください。
内容と目的|ストレッチが目指す機能維持と筋へのアプローチ
本素材のストレッチ運動は、手関節掌屈方向への可動域を広げることに加え、前腕伸筋群に対する伸張刺激を目的としています。
このストレッチの主な目的
- 手関節掌屈可動域の維持・拡大
- 手指の柔軟性向上および連動性の改善
- 前腕伸筋群のストレッチ(長橈側手根伸筋・短橈側手根伸筋・尺側手根伸筋など)
- 上肢機能全体の協調性維持
手関節の伸展筋群は、パソコン作業や握力を必要とする作業の中で過活動になりやすく、慢性的な筋緊張や疲労を引き起こす要因となります。掌屈方向へのストレッチは、そうした筋緊張を軽減し、バランスの取れた上肢運動を支えるうえで有効です。
運動方法と活用方法|どの場面でも使える実践的アプローチ
ストレッチの実施方法
- 姿勢を整える
椅子に座った状態、あるいは立位で行います。背筋を伸ばし、胸を軽く張り、リラックスした呼吸を保ちます。
- 手の甲を合わせる準備
両手の手の甲を腹部付近で合わせます。手指は自然に伸ばしておき、手首の背屈を軽く保ちましょう。
- 引き上げ動作の実施
手の甲を合わせたまま、両肘を体幹に沿わせながら、手の位置を胸部付近まで引き上げていきます。このとき、手関節に心地よい伸張感が出る範囲まで行いましょう。
- 保持と戻し動作
伸張位で5〜10秒ほど保持し、その後ゆっくりと元の位置まで戻します。これを3〜5セット繰り返すと効果的です。
素材の活用シーン
- 訪問リハビリやデイケアでの自主トレーニング補助
- 上肢の筋緊張緩和を目的としたウォームアップとして
- PC業務が多い方へのセルフケア指導教材として
- 家族へのホームプログラム支援資料として
本素材は、動作の説明だけでなく視覚的にも理解しやすいイラスト付きで構成されており、対象者やご家族にもわかりやすく説明できる点が強みです。
注意点と安全への配慮|リスクを抑えて安心して使うために
安全に行うためのチェックポイント
- 痛みや違和感を訴える場合はすぐに中止
関節や筋肉に無理なストレスがかからないよう、動作中のフィードバックを丁寧に確認してください。
- 呼吸を止めないように意識づける
特に保持時に息を止めやすくなるため、呼吸のリズムを保つことが大切です。
- ゆっくりとした動作を心がける
反動をつけず、筋肉や腱に負担をかけないように、ゆっくりと行いましょう。
- 炎症や腫脹がある部位への適用は避ける
急性期や外傷後などは、専門職の判断を優先し、安易な実施は控えてください。
- 高齢者や上肢疾患のある対象者には特に注意を
筋力低下や骨粗しょう症などにより、手関節に不安定性がある場合は補助や段階的な介入が必要です。
まとめ
手関節掌屈ストレッチは、日常的に繰り返し使えるシンプルかつ効果的なアプローチです。関節の動きが少なくなりがちな対象者にとって、柔軟性を維持し、痛みのない動作を継続するための重要な手段となります。
本素材は、リハビリ専門職の方々が安心して使用できるよう、動作の解説と注意点をしっかり押さえた構成となっています。対象者への説明資料や家庭での継続支援として、ぜひご活用ください。
「リハハウス」では、今後も自主トレ支援に役立つイラスト素材を随時公開してまいります。現場でのニーズに即した素材開発を通じて、皆さまの臨床実践を支援していきます。