このプリントは医療従事者の監修のもと作成されたもので、あくまで自主トレーニングの補助資料です。無理のない範囲で行い、症状や痛みがある場合は医療機関に相談しましょう。
はじめに
股関節は、日常生活のあらゆる動作に深く関与する重要な関節です。立ち座りや歩行、階段昇降、さらには床からの立ち上がり動作など、下肢の可動性と安定性の基盤となります。しかし、高齢者や運動機会の少ない方、整形外科疾患の既往を持つ方では、股関節周囲の柔軟性低下や筋緊張の亢進がしばしば認められ、ADL(Activities of Daily Living)にも影響を与えることがあります。
今回リハハウスで提供する「股関節ストレッチ」のプリント素材は、座位で安全に取り組めるシンプルなストレッチ運動をイラスト付きで紹介しています。関節可動域の拡大や柔軟性維持、疼痛の緩和を目的とした自主トレーニングとして、多くの臨床現場や在宅リハビリテーションの場面で活用いただける内容です。
※本プリントは医療行為を目的としたものではありません。使用に際しては、体調や症状に応じて無理のない範囲で行ってください。
内容と目的
本素材では、あぐら座位で両足の裏を合わせ、膝を上下に揺らすという非常にシンプルな運動形式を採用しています。複雑な動作が含まれず、筋力に不安のある方や可動域制限のある方でも取り組みやすい点が特長です。
主な内容
- 股関節ストレッチに特化したイラスト素材
- 動作手順・注意点の視覚的説明
- 臨床現場での説明補助や在宅指導に活用できるプリント形式
主な目的
- 股関節の可動域拡大および維持
- 股関節周囲筋の柔軟性向上
- 骨盤・腰椎の安定性の改善
- 姿勢保持能力の間接的向上
- 腰痛や股関節周囲の張り感の軽減
股関節の可動性低下は、腰部への過負荷や歩行時の代償運動を引き起こす要因となります。そのため、本ストレッチは運動連鎖全体の効率化にも寄与する重要な基礎的運動といえるでしょう。
運動方法と活用方法
基本的な実施手順
- 床またはマット上であぐらをかくように座る
- 椅子上での代用も可能ですが、床での実施がより効果的です。
- 椅子上での代用も可能ですが、床での実施がより効果的です。
- 両足の裏を合わせ、かかとを体幹に近づける
- 無理のない範囲で股関節を開く。
- 無理のない範囲で股関節を開く。
- 背筋を伸ばして姿勢を整える
- 骨盤を立てることがポイント。
- 骨盤を立てることがポイント。
- 両膝を上下にゆっくりと揺らす
- 可動域の範囲で無理なく反復する(10〜20回を1セット)。
活用のヒント
- 自主トレ指導プリントとして配布
訪問リハや外来リハでのホームエクササイズ提案に活用可能。
- ストレッチ前のウォーミングアップとして導入
筋トレ前の可動域確保に有効。
- 終日座位が長い対象者のセルフケア支援に
座りながらできるため、介助負担が少なく導入しやすい。
本素材はイラストに加え、視覚的な注意喚起と動作の理解を促す解説文を組み合わせた構成となっており、専門職が現場で説明する際の補助資料としても高い汎用性があります。
注意点と安全への配慮
実施に際しての留意点
- 疼痛出現時は中止する
股関節疾患(変形性股関節症など)や人工関節置換術後の方では、無理な可動域拡大が悪影響を及ぼす可能性があります。
- 呼吸を止めず、リラックスした状態で実施する
緊張状態での実施は筋収縮を招き、ストレッチ効果が低下する可能性があります。
- 背筋は自然に伸ばし、骨盤の後傾を避ける
代償的に腰椎が丸まってしまうと、股関節への効果が減弱します。
実施を控えるべきケース
- 股関節または骨盤周囲に炎症や腫脹がある場合
- 術後早期の可動制限期間中
- 椎体骨折や坐骨神経痛が顕著な場合
安全な実施のためには、対象者の既往歴や身体状況を十分に評価した上で指導することが前提となります。
まとめ
「股関節ストレッチ」は、下肢全体の運動機能を支える土台となる可動域維持に貢献する重要なエクササイズです。座位で簡単に行える動作でありながら、股関節・骨盤周囲の柔軟性や姿勢制御、ひいては歩行機能の維持にも寄与する効果が期待できます。
本素材は、イラスト形式で視覚的に分かりやすく、リハビリ専門職による説明と併用することで、対象者の理解と実践の定着をサポートします。在宅指導、通所・入所施設、外来リハビリ、さらには家族指導など、さまざまな場面での活用が可能です。