【無料ダウンロード】半側空間無視課題プリント|高次脳機能リハビリに活用できる図形探索イラスト素材(25図形ランダム配置)その④

このプリントは医療従事者の監修のもと作成されたもので、あくまで自主トレーニングの補助資料です。無理のない範囲で行い、症状や痛みがある場合は医療機関に相談しましょう。

 

目次

はじめに|空間認知の再構築を支える視覚探索課題

高次脳機能障害の中でも、日常生活に深刻な影響を及ぼす症状の一つが「半側空間無視」です。脳卒中や外傷後の患者において、特に右半球の損傷により左側の空間を認知できなくなることが多く見られます。
たとえば食事の際に皿の半分を残す、移動時に左側の壁や人にぶつかる、整容時に顔の半分だけを洗うなど、ADL(Activities of Daily Living)に直接的な困難をもたらします。

リハハウスでは、このような症状に対する支援として、視覚探索能力を鍛えるプリント教材を多数提供しています。今回ご紹介するのは、「上矢印・丸・L字型図形」を紙面上から探索し、チェックしていく形式のプリントです。

※本プリントは医療行為を目的としたものではありません。使用に際しては、体調や症状に応じて無理のない範囲で行ってください。


内容と目的|図形探索による空間注意機能の訓練

このプリントは、ランダムに配置された複数の図形の中から、特定の図形(上矢印・丸・L型)を識別し、丸で囲んでチェックしていく視覚探索課題です。配置図形は全部で25個です。

  • 上矢印の図形:4つ
  • 丸の図形:4つ
  • L型の図形:4つ
  • その他の図形:13個

上記のような構成で、視覚的注意力や空間認知機能を刺激します。

本課題の目的

  • 半側空間無視の改善
    見落としやすい側の探索を繰り返し行うことで、視覚的な注意の偏りを改善する支援が可能です。
     
  • 視覚的注意の強化
    ランダム配置により、パターン化された探索ではなく、能動的な視覚探索を促します。
     
  • 認知統合の再構築
    形の弁別・記号の識別・選択的注意といった高次認知機能を総合的に鍛える訓練になります。
     
  • 日常生活能力への応用
    視野の拡大や注意の均等化が進むことで、歩行時の安全性や整容・食事動作の質の向上につながります。

運動方法と活用方法|誰でも簡単に取り組めるプリント課題

◆ 実施手順(施設・在宅共通)

  1. プリントを印刷
    A4サイズで印刷し、机の上に平置きしてください。
     
  2. 説明と指示の明確化
    「この中にある、上矢印・丸・Lの形の図形を見つけて、すべて丸で囲ってください」と指示を出します。
     
  3. 課題の実施
    参加者がペンを使って順番に図形をチェックしていきます。初回は時間制限なしでも構いません。
     
  4. 評価・フィードバック
    見落とし箇所がどこに集中していたか、左右のバランス、所要時間などを確認・記録し、次回へのフィードバックに活用します。

◆ 臨床現場での応用例

  • 初期評価の一助として
     視空間無視の程度や、探索パターンの偏りを簡易的に確認できます。
     
  • 経過観察の記録として
     定期的に同形式の課題を実施し、図形識別数や所要時間を記録することでリハビリ効果を可視化できます。
     
  • 集団訓練への応用
     複数名同時に取り組ませることで、競争形式にしてモチベーションを高める工夫も可能です。

◆ 在宅での活用方法

  • 家族と一緒に取り組む
     介護者がサポートしながら、楽しく日課として行うことで、継続性のあるリハビリになります。
     
  • 改善の見える化
     簡単なタイマーや記録シートを併用することで、利用者本人の達成感や進捗感を得られます。
     
  • バリエーションとの併用
     図形の種類や数を変えたプリントを交互に使用することで、マンネリ化を防ぎます。

注意点と安全への配慮|実施時に押さえるべき重要ポイント

  • 視野誘導の声かけ
    特に無視側(多くは左側)に目を向けられるよう、「左側も見てみましょう」と促す声かけを取り入れると効果的です。
     
  • 照明・視力補正の確認
    適切な照明環境と眼鏡等の使用を促し、図形の視認性を確保することが大切です。
     
  • 疲労や集中力に配慮
    1回の課題時間は5分以内を目安とし、集中力が低下する前に終了することで、効果的な訓練が行えます。
     
  • 難易度の調整
    初めは図形数を減らす、色分けするなどの工夫を加えることで、段階的な訓練が可能です。

まとめ|半側空間無視への働きかけに有効な図形探索課題

本プリントは、「上矢印」「丸」「L型図形」という三つの視覚的に認識しやすい図形を用いた、視空間認知トレーニング教材です。ランダム配置と限定された図形数によって、探索意欲を保ちながら無視側への注意喚起を促す構成となっており、臨床でも在宅でも活用しやすい内容です。

リハビリ専門職が使用する評価ツールとしてはもちろん、自主トレーニング用教材としても最適です。リハハウスでは、こうしたプリントを無料ダウンロード可能な形式で提供しており、印刷してすぐに使用できます。

高次脳機能障害、特に半側空間無視へのリハビリを行う上で、実用性の高い本教材をぜひご活用ください。

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