【無料ダウンロード】ペア探し課題で行う注意・視覚探索リハビリプリント|高次脳機能障害・自主トレに使える教材 ③

 

目次

はじめに

今回紹介する【無料ダウンロード】プリントは、「同じ果物をペアにしていくと、1つだけペアにならない果物を探す」という注意・視覚探索課題 その③です。
 
すべて果物のイラストで構成されており、楽しく取り組みながら選択的注意力、集中力、視覚的スキャン能力を鍛えることができます。

視覚的にわかりやすいデザインのため、臨床現場でのリハビリだけでなく、在宅での自主トレーニングや高齢者向けの認知トレーニングにも応用しやすい内容です。

※本プリントは医療行為を目的としたものではありません。使用に際しては、体調や症状に応じて無理のない範囲で行ってください。


内容と目的|果物ペア探しによる注意・探索トレーニング

■ 課題の概要

本プリントには複数種類の果物イラスト(例:りんご、みかん、バナナ、ぶどう、いちごなど)が描かれています。その中で、同じイラストがペアになるように配置されており、1種類だけ「ペアにならない果物」が含まれています。

対象者は、プリント全体を見渡しながらペアの果物を一つずつ見つけて消し、最終的に1つだけ残る果物を答えるという課題です。

この一連の動作は、単なる「間違い探し」ではなく、注意力・認知制御・視覚探索能力を多面的に訓練する構成となっています。


■ リハビリ目的

  1. 選択的注意・集中力の向上
    複数の果物の中から同じ形・色・大きさを識別し、対象を素早く選択する能力を高めます。
    注意散漫や情報の取りこぼしがある方に特に有効です。
     
  2. 視覚探索・空間的スキャン能力の強化
    課題全体を見渡し、左右・上下に視線を移動しながら情報を正確に処理する練習になります。
    半側空間無視などの症状を持つ方には、視野の広がりを意識した探索訓練として活用できます。
     
  3. 遂行機能・自己モニタリング能力の向上
    ペアの有無を確認しながら順序立てて進めるため、課題遂行能力を鍛えることができます。
    途中で数え間違えた場合や見落とした場合に気づく力(自己修正能力)も育ちます。
     
  4. 楽しさと達成感によるモチベーション維持
    果物という身近で親しみやすいモチーフを使用することで、リハビリへの抵抗感を軽減し、楽しく継続できます。

運動方法と活用方法|実践手順と応用例

■ 実施手順

  1. 課題の説明
    対象者にプリントを提示し、「同じ果物を2つずつペアにして消してください。1つだけペアにならない果物があります。それを最後に答えてください」と説明します。
     
  2. 探索フェーズ
    目で全体を見渡しながら、ペアを見つけたら線で結ぶか、丸で囲むなどして消していきます。
    この際、「左上から順に見ていきましょう」など、系統的な探索方法を指導すると効果的です。
     
  3. 確認フェーズ
    すべてのペアを見つけ終えたら、残った果物を確認し、名称を口頭または記入で答えます。
    (例:「残ったのはバナナです」など)
     
  4. フィードバック
    指導者や家族が答えを確認し、正答かどうかを伝えます。
    誤答の場合も、「よくここまで探せましたね」「あと1つ見落としがありました」と肯定的な言葉がけを行うことで、学習意欲を維持します。

■ 活用の応用例

  • 臨床現場での利用
     作業療法・言語療法のセッションで、注意機能訓練や視覚探索訓練の一部として活用できます。
     課題実施時の視線の偏り・探索範囲・反応時間などを観察することで、評価的にも利用可能です。
     
  • 在宅での自主トレーニング
     印刷して自宅で簡単に実施できるため、退院後や外来フォロー中の自主トレとしても最適です。
     家族が一緒に取り組むことで、コミュニケーションのきっかけや楽しみの要素にもなります。
     
  • 難易度調整の工夫
     初級:果物の種類を少なくし、配置間隔を広げる。
     中級:果物の種類を増やす、類似色(例:りんごとさくらんぼ)を混在させる。
     上級:小さめのイラストにして探索範囲を拡大する、時間制限を設けて行う。
     

難易度を段階的に調整することで、対象者のレベルに合わせたトレーニングが可能になります。


注意点と安全への配慮|指導・自主練習時の留意点

■ 実施時の注意点

  1. 短時間で集中して行う
    注意機能課題は疲労しやすいため、1回5〜10分を目安にします。集中力が低下した場合は即時中止します。
     
  2. 成功体験を重視する
    「全問正解」よりも「間違えずに進めた」「見落としが減った」といった改善を評価します。
    心理的負担を与えない声かけが重要です。
     
  3. 視覚環境の最適化
    明るい場所で実施し、背景がごちゃつかないようにします。メガネや補助レンズが必要な場合は忘れず装着します。
     
  4. 動作の安全確保
    机上で行う際は、姿勢が前屈しすぎないよう椅子と机の高さを調整し、ペンの操作がしやすい環境を整えます。

■ 自主トレ時の配慮事項

  • 家族がタイムキーパーやサポーターとして見守ることで、安全かつ継続的に実施できます。
     
  • 疲労や集中力低下が見られた場合は無理をせず、休憩をはさみます。
     
  • 毎回の結果をメモし、「前回より速くできた」「見落としが減った」などの変化を記録することで、経過把握とモチベーション維持に役立ちます。

まとめ|楽しく注意力を鍛える果物イラスト課題

この【無料ダウンロード】果物ペア探しプリントは、注意・集中・視覚探索機能を楽しく鍛えることができる実践的教材です。

  • ペアを探す過程で注意力・視覚スキャン能力を訓練
  • ペアにならない1つを見つけることで遂行機能や自己修正能力を向上
  • 臨床・在宅・介護予防のいずれの場面でも使用可能

果物という身近なテーマを使うことで、心理的抵抗を少なくし、リハビリへの意欲を高める効果も期待できます。継続的に取り組むことで、注意力の向上や認知処理スピードの改善、日常生活動作の安定化が期待されます。

ぜひ、臨床現場での指導や家庭での自主トレーニングにご活用ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次