このプリントは医療従事者の監修のもと作成されたもので、あくまで自主トレーニングの補助資料です。無理のない範囲で行い、症状や痛みがある場合は医療機関に相談しましょう。
こんな素材がほしい! もっとこんな素材を増やしてほしいなどがありましたら、リクエストしてください!
はじめに|金額認知と注意機能を同時に鍛えるプリント教材
本記事では、リハビリ専門職(PT・OT・ST)向けに活用できる自主トレ用プリント素材として、「果物や飲み物のイラストを使い、提示された金額をもとに合計値を求める課題」を紹介します。
本プリントは、計算能力・選択的注意・視覚的情報処理・遂行機能などを総合的に刺激することを目的に作成しています。医療・介護現場や通所リハビリ、自主訓練、在宅での軽負荷トレーニングなど、幅広くご活用いただける構成です。
イラストはシンプルで視認性が高く、高齢者の方や注意障害をお持ちの方でも取り組みやすいデザインになっています。課題は「オレンジ120円・バナナ100円・お茶120円・りんご150円」といった4種類の価格設定をもとに、下部に提示された3つの組み合わせイラストの合計金額を計算する形式です。
※本プリントは医療行為を目的としたものではありません。使用に際しては、体調や症状に応じて無理のない範囲で行ってください。
内容と目的|イラストと価格情報を統合して処理するトレーニング
本教材は、以下の4種類のイラストを価格情報とともに提示します。
- オレンジ:120円
- バナナ:100円
- お茶:120円
- りんご:150円
その下に配置された3つの組み合わせ問題では、たとえば「りんご+バナナ」「オレンジ+お茶+オレンジ」など、複数のアイテムを見比べながら合計金額を算出する認知課題として設計されています。
◆ この課題が刺激する主な認知領域
| 認知領域 | 刺激される理由 |
|---|---|
| 注意機能(選択的注意・持続的注意) | イラストの種類や金額を正確に照合し続ける必要があるため |
| ワーキングメモリ | 頭の中で複数の価格を保持しながら計算するため |
| 視覚認知(識別・照合・カテゴリー化) | 果物や飲み物の種類を視覚的に見分け、正しい価格に紐づけるため |
| 遂行機能(計画・チェック) | 計算手順を立て、答えを導くための段取り力が求められる |
| 基礎計算能力 | 加算処理を繰り返すことで計算の正確性を強化 |
◆ 特に活用したい対象例
- 高次脳機能障害(注意障害・遂行機能障害 等)
- 脳卒中後の認知機能リハビリテーション
- 高齢者の軽度認知機能低下予防
- デイサービスや自費リハビリでの自主課題
- 在宅での簡単なセルフトレーニング
イラストを見ながら金額を照合するため、数字のみの計算問題よりも直感的で、
視覚的に取り組みやすい学習体験が得られる点が大きな特徴です。
運動方法と活用方法|現場での使い方を具体的に解説
ここでは、臨床や教育現場での実用的な活用方法を紹介します。
「計算課題」としてだけでなく、注意・記憶・遂行機能の訓練ツールとして広く応用できます。
◆ 基本の使い方(標準版)
- まず4種類の価格表(オレンジ・バナナ・お茶・りんご)を確認する
- 次に、下段にある組み合わせイラストを一つずつ確認
- 必要に応じてメモを取りながら、合計金額を計算
- 最後に答え合わせをして、誤りがあればどこで認知負荷が発生したのか振り返る
◆ 応用編①:注意機能を強めたい場合
- 計算時間を軽く制限し、持続的注意を高める
- 「声に出して確認してもらう」ことでより選択的注意に負荷をかける
- 似たイラスト(オレンジとりんご等)をわざと見間違えないように配慮しつつ進行
◆ 応用編②:遂行機能アプローチ
- 「どの順番で計算したか」を本人に説明してもらう
- 自分で手順を組み立てることで計画性・モニタリング力を促す
- 誤答があった場合は「どの段階でミスが起きたか」を振り返る
◆ 応用編③:記憶アプローチ
- あらかじめ価格表を隠して計算してもらい、ワーキングメモリの活用を促す
- ステップを細分化し、必要な情報を保持する練習として使用可能
◆ 施設でのグループ活動にも有効
- 参加者同士で計算結果を比較し、答えを共有
- コミュニケーション促進・社会的活動としての効果も期待できる
注意点と安全への配慮|負荷調整と誤学習の防止
本課題は比較的軽負荷ですが、以下の点に注意するとより安全に、かつ効果的に進められます。
◆ 注意事項
- 疲労が強い場合は問題数を減らす、休憩を挟むなど負荷を調整する
- 計算が苦手な方の場合、焦りやすいため「ゆっくりで大丈夫」と声掛けする
- 誤学習を防ぐため、最初の価格表をしっかり確認してから進める
- 色覚に影響がある方には、イラストの形状をしっかり認識してもらう
◆ 安全への配慮
- 認知負荷が過剰になると、集中力低下やイライラ感につながることがある
- 課題中にストレスが生じていないかこまめに確認する
- スタッフやセラピストが進行する場合は、本人のペースに合わせることが重要
- 高齢者には筆記速度がゆっくりである点を前提に進める
まとめ|日常生活に直結する計算能力と注意力を総合的に強化
果物や飲み物のイラストを用いた合計金額の計算課題は、単なる加算だけではなく、注意・記憶・視覚認知・遂行機能といった複数の認知領域を同時に刺激できる優れた素材です。
特に、日常生活場面で重要となる「買い物」「値段の比較」「情報の照合」といった要素が含まれているため、生活に結びつきやすく、実用的なリハビリ課題として多職種から支持されています。
リハハウスでは、今後も専門職の現場で使いやすい「無料ダウンロード」素材を継続して制作していきます。自主トレ指導、個別リハ、集団活動など、さまざまな場面でぜひご活用ください。

