【無料ダウンロード】買い物で考える遂行機能リハビリプリント|高次脳機能障害・自主トレに使えるイラスト教材 その①

 

目次

はじめに

高次脳機能障害や脳血管障害の後遺症としてみられる「遂行機能障害」では、日常生活の中で計画を立てる・優先順位を決める・限られた条件下で判断するといった能力が低下しやすくなります。

その結果、「買い物の計画が立てられない」「必要なものを思い出せない」「金額内で選べない」といった困難が生じることがあります。

今回紹介する【無料ダウンロード】プリントは、買い物を想定した計画課題です。表に示された飲み物や果物の中から、指定された金額内で購入できる商品を選び、〇をつけるという内容になっています。

臨床現場では、遂行機能や注意力、金銭感覚のトレーニングに活用でき、在宅リハビリや自主トレーニングとしても取り組みやすい教材です。また、買い物という身近なテーマを扱うことで、実生活への一般化が期待できる点も大きな特徴です。

※本プリントは医療行為を目的としたものではありません。使用に際しては、体調や症状に応じて無理のない範囲で行ってください。


内容と目的|「考えて選ぶ」力を育てるリハビリ教材

■ 課題の概要

本プリントには、複数の飲み物や果物とそれぞれの価格が表形式で記載されています。
対象者は、指定された金額の範囲内で購入できる商品を選び、購入するものに〇をつけるというルールに従って課題を行います。

たとえば「500円以内で買い物をしましょう」という設定であれば、対象者は各商品の価格を見ながら、どの組み合わせなら予算内に収まるかを考えます。この過程で、金額の合計を計算し、優先順位をつけながら選択する必要があります。

■ リハビリとしての目的

  1. 遂行機能の強化
    限られた条件(予算)をもとに最適な選択を行うことで、目標設定・計画・実行・修正の各プロセスを訓練できます。
     
  2. 注意力と情報処理能力の向上
    表の情報を正確に読み取り、価格を照らし合わせて選択する際に、注意の持続や情報の整理力が必要となります。
     
  3. 計算力・作業記憶の活性化
    合計金額をその都度保持しながら判断するため、短期記憶やワーキングメモリの活性化にもつながります。
     
  4. 実生活との関連づけ
    「買い物」という具体的な場面を扱うことで、日常生活動作(ADL・IADL)への汎化が期待されます。

この課題は、単なる数的処理ではなく、日常的な場面での計画力・判断力をトレーニングできる教材です。


運動方法と活用方法|実施手順と応用的活用

■ 実施手順

  1. 課題の説明
    対象者にプリントを提示し、「この中から、指定された金額内で買えるものを選んで〇をつけましょう」と説明します。金額の上限(例:500円以内、700円以内など)は対象者のレベルに合わせて設定します。
     
  2. 選択フェーズ
    対象者は表の価格を見ながら、組み合わせを考えます。
    たとえば「ジュース120円+りんご150円+お茶120円=390円」といった具合に、予算内で成立する組み合わせを導き出します。
     
  3. 確認フェーズ
    合計金額が上限を超えていないかを確認します。
    この際、筆算や暗算を使っても良く、可能であれば計算過程も口頭で説明してもらうと、思考の可視化になります。
     
  4. 振り返りフェーズ
    「なぜその組み合わせを選んだのか」「別の選択肢はあるか」などを話し合い、思考過程を整理します。
    このステップを設けることで、単なる正誤確認ではなく、遂行機能訓練としての意味付けが深まります。

■ 臨床・在宅での活用例

  • 臨床現場での使用
    作業療法や言語療法で、遂行機能・注意機能・計算力の統合的トレーニングとして活用可能です。
    課題中の「選択の根拠」「金額の見落とし」「途中修正の有無」などを観察することで、認知プロセスの評価資料にもなります。
     
  • 在宅トレーニングとしての使用
    家庭でも簡単に実施でき、家族が「どれを買う?」「もう少し買えるね」といった声かけを行うことで、自然な会話や認知刺激が促されます。
     
  • 難易度の調整
    初級:商品数を少なくし、価格差を明確に設定する。
    中級:価格帯を近づけ、合計金額の調整を難しくする。
    上級:小数点(例:150円、180円、220円)を導入し、計算精度を高める。

このように、課題内容を調整することで、対象者のレベルや目標に応じた段階的トレーニングが可能です。


注意点と安全への配慮|指導・自主練習時の留意点

■ 実施時の注意点

  1. 理解度を確認してから実施する
    「金額内で買う」というルールが曖昧なままだと課題の意図が伝わりにくいため、実施前に理解を確認します。
     
  2. 計算負荷を適切に設定する
    難易度が高すぎると挫折感を招きやすいため、最初は簡単な価格設定から始め、徐々に複雑にしていくとよいでしょう。
     
  3. 成功体験を重視する
    正答よりも「考えて選べた」「自分で判断できた」というプロセスを評価することで、意欲の維持につながります。
     
  4. 集中力の持続に配慮
    遂行機能課題は注意の切り替えを必要とするため、1回あたり10分程度を目安に行い、疲労や集中低下が見られたら中止します。

■ 安全への配慮

  • 疲労や焦燥が見られた際は、すぐに中断し休憩を取ります。
     
  • 課題実施中は、姿勢が崩れないよう机や椅子の高さを調整します。
     
  • 在宅での実施時には、家族や介助者が見守り、誤学習や過剰負荷を防ぐようにします。

まとめ|買い物を通して計画力・判断力を鍛えるリハビリプリント

この【無料ダウンロード】買い物計画プリントは、遂行機能・注意・計算・判断力を包括的に刺激できるリハビリ教材です。

  • 限られた条件下での選択を通じて遂行機能を強化
  • 表情報の処理で注意力・ワーキングメモリを刺激
  • 実生活に直結した応用力・判断力のトレーニング

臨床現場では課題遂行の質的評価に、在宅では家族とのコミュニケーションを兼ねた自主トレとして活用できます。継続的な実施により、思考の柔軟性・計画性の改善、日常生活動作の安定化が期待されます。

ぜひ、臨床リハビリや自主トレーニングの一環としてご利用ください。


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