【無料ダウンロード】高次脳機能障害・注意障害に使えるTMTプリント(①~⑳)その③

このプリントは医療従事者の監修のもと作成されたもので、あくまで自主トレーニングの補助資料です。無理のない範囲で行い、症状や痛みがある場合は医療機関に相談しましょう。

 

目次

はじめに|シリーズ第3弾!実践的な注意トレーニングを支える一枚

高次脳機能障害のリハビリにおいて、特に注意障害や遂行機能障害の介入は、日常生活能力や社会復帰を左右する重要なステップです。注意の持続が困難、視野の一部が抜ける、物事の順序を正確に処理できない――こうした課題は患者本人にとっても、支援する家族や医療者にとっても大きな負担となります。

「Trail Making Test(TMT)」に着想を得たプリント課題は、これらの困難に対し、視覚的注意・作業記憶・遂行力など複数の高次脳機能を同時に刺激できる汎用性の高いアプローチです。

本記事でご紹介する【無料ダウンロード】TMTプリント(①~⑳)その③は、前作よりも複雑な配置と構成により、より高度な認知負荷を目的とした内容となっています。

※本プリントは医療行為を目的としたものではありません。使用に際しては、体調や症状に応じて無理のない範囲で行ってください。


内容と目的|TMTプリント「その③」で注意力と遂行機能の実践的な強化を

プリント構成と目的

本プリントでは、「①」から「⑳」までの番号を一筆書きで結んでいく課題形式を採用しています。構成は以下の通りです。

  • 形式
    ①~⑳を順に結び、ペンを紙から離さずに一筆で書く
     
  • 難易度
    視線の移動距離や探索範囲が広く、数字の配置にも工夫を加えた構造
     
  • 目的対象者
    注意障害・遂行機能障害・視空間認知の低下がみられる方
     
  • 配布形式
    A4モノクロPDF(無料)で即時印刷・活用可能

期待される訓練効果

  1. 持続的注意力の向上
     → 最後の番号まで集中力を切らさずに取り組む練習
     
  2. 視覚的探索と分配注意の強化
     → 全体を見渡しながら目的の数字を見つけ出す視線操作の訓練
     
  3. 作業記憶と順序性の活性化
     → 前の番号を覚えながら次の番号を探すことで、前頭葉機能を刺激
     
  4. エラー認知と自己修正能力の促進
     → 誤った経路に気づいて修正することで遂行機能の改善へとつながる

TMT形式の課題は、単なる「数字探し」ではなく、実際には複雑な認知処理を要する高度なトレーニングです。


運動方法と活用方法|TMTプリントの使い方と臨床・在宅での応用法

基本の実施方法

  1. A4プリントを白黒またはカラーで印刷
     
  2. 対象者の正面に配置し、ルールを説明(「①~⑳を順に、ペンを離さずに線でつなげてください」)
     
  3. 書字が難しい場合は、指なぞりによる代用や拡大印刷での工夫も可
     
  4. 実施後には、本人の感想や困難点を共有し、リハビリの振り返り材料とする

活用の場面と対象

  • 急性期~回復期のリハビリ病棟
     注意・遂行機能の導入訓練として
     
  • 通所・訪問リハビリ
     在宅でも取り組みやすく、継続可能な教材
     
  • 家族や介護者による支援
     日々の習慣化やリハビリの家庭導入に有効

応用的な活用

  • タイム計測を併用して処理速度や注意維持時間の評価に
  • 毎週の反復でリハビリの定着や進捗の可視化
  • 記録用チェックシートと組み合わせて、指導者・家族と共有可能なリハ素材に

注意点と安全への配慮|継続できる工夫と心理的支援も重要

実施時の安全と心理的ケア

  • 疲労や集中力低下に注意
     → 10〜15分程度を上限とし、無理のない時間設定に配慮
     
  • 成功体験を重視した声かけ
     → 失敗や間違いを責めず、「できたこと」に注目する
     
  • 習熟度に応じた課題選択
     →「その①」や「その②」で慣れた後に本課題へ移行すると効果的
      
  • 生活リズムに合わせた時間帯の実施
     → 午前中や静かな時間帯に集中して取り組むと効果的

プロセスの観察ポイント

結果だけでなく、以下のような行動プロセスにも注目しましょう。

  • 目の動き(視野が全体に行き届いているか)
  • 書字の軌道(スムーズな一筆動作ができているか)
  • エラーの自覚と自己修正の有無
  • 作業ペース(急ぎすぎていないか、集中が持続しているか)

これらは日常生活における行動や認知機能の状態を評価するうえで、非常に参考になります。


まとめ|TMTプリント「その③」で段階的かつ継続的なリハビリ支援を

本記事で紹介した【無料ダウンロード】高次脳機能障害・注意障害に使えるTMTプリント(①~⑳)その③は、シリーズの中でもやや複雑な構成となっており、注意力・探索力・作業記憶などの認知機能に対して、より高い負荷をかけられる内容です。

  • A4サイズで即印刷・即実施が可能
  • 在宅トレーニングから臨床現場まで幅広く対応
  • シリーズを通じて段階的に進められる設計

今後も「その④」「その⑤」…と継続してシリーズ展開を予定しています。TMTシリーズを通して、評価・訓練・支援の一貫性を持たせたリハビリテーションの一助として、ぜひご活用ください。


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