このプリントは医療従事者の監修のもと作成されたもので、あくまで自主トレーニングの補助資料です。無理のない範囲で行い、症状や痛みがある場合は医療機関に相談しましょう。
目次
はじめに|シリーズ第4弾!より高度な注意トレーニングを支える一枚
高次脳機能障害のリハビリテーションにおいて、注意障害や遂行機能障害へのアプローチは、患者の生活自立度や社会復帰の可否に直結する重要なリハビリ項目です。
注意が途切れやすい、視野の一部を見落とす、物事の順序を正確に処理できない――こうした課題は、本人だけでなく支援者にとっても大きな負担となります。
今回ご紹介するのは、Trail Making Test(TMT)に着想を得た無料ダウンロードプリント(①~⑳)その④。本シリーズは段階的に難易度を上げており、その④ではこれまで以上に複雑な数字配置と視覚探索負荷を取り入れています。
このプリントは、視覚的注意・作業記憶・順序処理能力・自己修正力といった複数の高次脳機能を同時に刺激でき、臨床・在宅双方で活用できる汎用性が魅力です。
※本プリントは医療行為を目的としたものではありません。使用に際しては、体調や症状に応じて無理のない範囲で行ってください。
内容と目的|TMTプリント「その④」で狙う認知機能の実践的強化
1. 課題形式
- ①~⑳の数字を順に、一筆書きでつなげていく形式
- ペンを紙から離さずに、連続して線を引くルール
2. 難易度設定
- 視線の移動距離を長くし、探索範囲を広げた配置
- 数字の間隔や位置関係をランダム化し、注意維持を必要とする構造
3. 対象者
- 注意障害、遂行機能障害、視空間認知の低下が見られる方
- 高次脳機能障害リハビリの中級~上級課題として
4. 目的と期待される効果
- 持続的注意力:最後まで集中を切らさず取り組む習慣づけ
- 視覚的探索能力:広範囲を見渡し、目的の数字を見つける練習
- 作業記憶と順序性:直前の番号を保持しながら次の番号を探索
- 自己修正能力:誤った経路に気づき修正する遂行力の向上
運動方法と活用方法|臨床現場から在宅リハまで
基本的な使い方
- A4サイズでプリントを印刷(モノクロ・カラーどちらでも可)
- 対象者の正面に配置し、ルールを明確に説明
- 書字が難しい場合は指なぞりや拡大印刷で対応
- 実施後は、感想や困難点を共有し振り返りに活用
活用できる場面
- 急性期~回復期病棟:導入期の注意訓練や遂行機能訓練として
- 通所・訪問リハ:自宅でも継続可能なトレーニングツール
- 家族支援:家庭での日課として取り入れやすい教材
応用的活用方法
- タイム計測で処理速度や集中時間の評価に
- 毎週の反復で進捗を記録しモチベーション向上
- チェックシートと併用し、経過を可視化して共有
注意点と安全への配慮|継続できる環境づくり
実施時の配慮
- 疲労や集中力低下が見られる場合は中止
- 実施時間は10~15分程度を目安に
- 成功体験を重視し、達成感を持たせる声かけを行う
- 習熟度に合わせてシリーズの初期課題から順に導入
観察ポイント
- 視線の動き(探索範囲の広さ)
- 一筆書きの軌道(スムーズさや躊躇の有無)
- エラーの自覚と修正行動
- 作業ペース(速すぎないか、集中が保てているか)
これらの観察結果は、日常生活動作や認知機能評価にも直結します。
まとめ|TMTプリント「その④」で段階的かつ継続的なリハビリを
今回の【無料ダウンロード】TMTプリント(①~⑳)その④は、シリーズの中でも高難易度の構成となっており、注意力・探索力・作業記憶・遂行機能など多方面の認知機能を刺激します。
A4サイズで印刷してすぐに使用でき、病院・施設・在宅のどの場面でも応用可能です。
本シリーズは段階的に難易度を調整しており、「その①」「その②」「その③」と進めることで、対象者に合わせた無理のない認知訓練計画を立てられます。評価と訓練を一貫して行えるツールとして、日々のリハビリにぜひご活用ください。