このプリントは医療従事者の監修のもと作成されたもので、あくまで自主トレーニングの補助資料です。無理のない範囲で行い、症状や痛みがある場合は医療機関に相談しましょう。
はじめに|足趾機能の向上に役立つ“マーブルピックアップ”とは?
歩行能力の維持やバランス制御において、足部内在筋や足趾の機能は極めて重要な役割を果たします。特に高齢者や活動量の低い方では、足部機能の低下が転倒リスクの増加や足部変形、ADL(日常生活動作)の低下を引き起こす要因となることが知られています。
そこで注目されているのが、「マーブルピックアップ」という自主トレーニングです。これは、足趾を使って小物(例:お手玉やおはじき)を拾い上げる運動で、足部の細やかな動きを引き出すとともに、足底の固有感覚や筋力を効果的に刺激するエクササイズです。
リハハウスでは、視覚的にわかりやすく、患者指導にも活用しやすいイラスト付きの無料ダウンロードプリント素材を提供しています。この記事では、マーブルピックアップの目的、方法、臨床での活用ポイントまで網羅的に解説します。
※本プリントは医療行為を目的としたものではありません。使用に際しては、体調や症状に応じて無理のない範囲で行ってください。
内容と目的|足趾の筋力強化と感覚入力の促進を狙う運動
実施内容
- 足趾を使用して、小さな物体(お手玉やおはじき)をつまみ上げる動作を繰り返すトレーニング
期待される効果・目的
- 足部内在筋の筋力強化
・母趾外転筋
・短母趾屈筋
・短趾屈筋
・足底方形筋 など
- 足趾屈筋群の活性化
・長母趾屈筋
・長趾屈筋
これらの筋は、歩行時に地面をとらえる力(グリップ力)や安定した立位保持を担うため、筋機能の維持は重要です。
- 固有受容器(深部感覚)への刺激
足趾の細やかな操作によって、足底や足趾に存在する感覚受容器が刺激され、姿勢制御や反射的なバランス保持機能の向上に寄与します。
- 巧緻性・器用さの改善
細かい動作を繰り返すことで、足趾の運動制御精度が高まり、履き物の操作や床をつかむ動作がよりスムーズになります。
運動方法と活用方法|イラストプリントを用いた実践と応用
基本的な実施手順
- 座位姿勢をとる(椅子やベッド端でも可能)
- 足元にタオルを敷き、その上にお手玉やおはじきなどの小物を複数個配置する
- 足趾で1個ずつつまみ、かごや箱などに移動させる
- 反対側の足でも同様に実施する
この一連の動作を1セット10回程度、1日1〜2セットを目安に行います。対象者の疲労度や筋力レベルに応じて、個数や回数は柔軟に調整してください。
臨床・在宅での活用ポイント
- 通所・訪問リハビリでの自主トレ課題
- 外来リハビリにおける運動指導
- 在宅利用者へのプリント配布と自主トレ支援
- グループ活動でのレクリエーション応用
特に高齢者の場合、視覚に訴えるイラスト入りプリントを併用することで、理解度が向上し、取り組みへの意欲も高まりやすくなります。
注意点と安全への配慮|誤用による逆効果を防ぐために
マーブルピックアップ運動の実施に際しては、以下の点に十分注意してください。
- 動作はゆっくり、丁寧に行うこと。
急いで行うと適切な筋収縮が得られず、足趾の過緊張やこむら返りを引き起こすリスクがあります。
- 誤って小物を踏んで滑ることがないよう、実施前後の整理整頓を徹底する。
- 椅子の高さは、股関節・膝関節が90度程度になるよう調整する。
- 糖尿病性神経障害や末梢循環障害のある方は、足趾の感覚異常や皮膚障害に留意し、医療者の監視下で実施する。
- 重度の外反母趾や足部変形のある方は、痛みの増悪に注意し、医師や療法士の判断を仰ぐ。
まとめ|足部機能の土台を整えるマーブルピックアップを習慣に
マーブルピックアップ運動は、機能的な足趾運動と感覚入力を同時に促進できる、非常に効果的な足部トレーニングの一つです。特別な道具を用いずに、安全かつ簡単に始められることから、リハビリテーションの現場だけでなく、在宅での自主トレーニングにも最適です。
本記事でご紹介したイラスト付きプリント素材(無料ダウンロード可能)を活用することで、指導の効率化だけでなく、対象者のモチベーション向上にもつながります。