このプリントは医療従事者の監修のもと作成されたもので、あくまで自主トレーニングの補助資料です。無理のない範囲で行い、症状や痛みがある場合は医療機関に相談しましょう。
はじめに|頸部の可動性を保つための自主トレ素材のご紹介
現代人の生活スタイルは、長時間のスマートフォン使用やデスクワークにより、頸部への負担が大きくなっています。特に高齢者や慢性疾患を抱える方にとって、頸部の柔軟性と関節可動域の維持は、日常生活の質(QOL)を支える重要な要素です。
今回ご紹介する「頸部ストレッチ(前後傾)」は、シンプルで安全性の高い運動でありながら、頸椎や周囲筋群の柔軟性向上に効果的な自主トレ素材です。リハハウスでは、このストレッチ運動をわかりやすいイラスト付きプリント形式で無料提供しています。
臨床現場での指導や、在宅リハビリ・通所リハビリテーションにおいて、ぜひこの素材をご活用ください。
※本プリントは医療行為を目的としたものではありません。使用に際しては、体調や症状に応じて無理のない範囲で行ってください。
内容と目的|頸部ストレッチのリハビリ的意義とは
素材の内容について
この素材では、頸部を前傾(うつむく動き)および後傾(上を向く動き)に動かすストレッチを紹介しています。基本的な運動であるものの、正しい姿勢と動作を意識することで、頸部の柔軟性や筋の滑走性、関節の可動域維持・改善が期待できる運動です。
実施の目的と対象
- 頸部の関節可動域(特に屈曲・伸展)の維持・改善
- 肩こりや首の張り感の軽減
- 頸椎周囲の筋緊張緩和
- 高齢者のバランス感覚保持と転倒予防の一助
- デスクワークやスマートフォン操作による疲労緩和
頸部は神経や血管が集中するデリケートな部位であり、慎重な運動指導が求められます。そのため、専門職が監修したイラスト付きプリントによる視覚的サポートは、安全性と理解促進の両面で有用です。
運動方法と活用方法|臨床から在宅まで広く活用できる運動内容
基本姿勢の確認
- 椅子に深く腰掛ける、もしくは立位で姿勢を正す
- 背筋をまっすぐに伸ばし、胸を軽く張る
- 両肩の力を抜き、リラックスした状態をつくる
動作手順
- 【頸部前傾(屈曲)】
ゆっくりと顎を引き、首の後ろを伸ばすように前に倒す
→ 5秒間キープし、元の位置へ戻す
- 【頸部後傾(伸展)】
顎をゆっくりと上げて、天井を見上げるように後ろに倒す
→ 無理のない範囲で5秒間キープし、戻す
- これらを各5〜10回ずつ、1日2〜3セットを目安に実施
活用場面の例
- 訪問リハビリでの体操指導
- 通所施設での体操時間
- 在宅自主トレーニング用プリント
- 頸部手術後や脳卒中後の可動域維持目的の軽運動
注意点と安全への配慮|頸部運動特有のリスクとその対処
頸部ストレッチは一見単純な動作に見えますが、神経・血管・筋・関節が密集した領域であり、慎重な配慮が不可欠です。
実施時の留意点
- 疼痛がある場合は無理に動かさない
→ 痛みがある部位を無理に動かすと、炎症や二次的損傷を引き起こす可能性があります。
- 呼吸は止めず、リズムを意識して行う
→ 息を吐きながら動かすことで筋の緊張が緩和され、動作の安全性が向上します。
- めまいやふらつきがある場合は即中止する
- 頸部後傾の際は、過伸展にならないよう可動域を調整する
- 椎骨動脈解離や脊髄症など頸椎に関わる疾患の既往がある場合は、必ず専門職の指導下で行う
安全性向上の工夫
- イラストを用いて動作手順を事前に視覚的に理解させる
- 鏡や他者の声かけにより、動作フォームのフィードバックを促す
- 座位での実施を推奨し、転倒リスクを回避する
まとめ|頸部ストレッチで快適な日常動作の土台づくりを
頸部の柔軟性は、姿勢保持や頭部運動、視線誘導など、日常生活に直結する多くの動作の基盤となる機能です。今回紹介した「頸部ストレッチ(前後傾)」は、簡単かつ効果的に頸部可動域を維持・改善できる自主トレ素材であり、幅広い対象者に適応可能です。
リハビリ専門職の皆様にとっても、視覚的に伝えやすく、安全に実施しやすいプリント素材として、日常の指導にご活用いただけます。
リハハウスでは、今後も臨床現場や在宅支援に役立つ無料ダウンロード可能なリハビリ・自主トレ用イラストプリントを継続的に提供してまいります。ぜひ、患者様やご利用者の生活機能向上にお役立てください。