このプリントは医療従事者の監修のもと作成されたもので、あくまで自主トレーニングの補助資料です。無理のない範囲で行い、症状や痛みがある場合は医療機関に相談しましょう。
こんな素材がほしい! もっとこんな素材を増やしてほしいなどがありましたら、リクエストしてください!
棚の反対側から見た配置を考える課題です
今回のプリントには、2段×3列の棚が描かれています。
手前から見ると、
- 緑の玉は上段中央
- オレンジの玉は下段左側
- 紫の玉は下段右側
に配置されています。
この状態から、自分が棚の反対側へ回り込みます。
そのとき、3つの玉がどのような位置関係に見えるかを考え、下に並んだ候補の中から正しい棚を選びます。
この課題のやり方
まずは、手前から見た棚をよく確認します。
「何色の玉が、何段目の、どの位置にあるか」を整理します。
その後、自分が棚の横を回って反対側へ移動する場面をイメージします。
基本的には、
- 玉の色を確認する
- 上段・下段を確認する
- 左・中央・右の位置を見る
- 自分が棚の反対側へ移動する
- 反対側からの見え方を考える
- 候補と照合する
という流れで進めます。
ポイント① 上下の位置は変わらない
この課題では、まず上下を先に整理すると考えやすくなります。
棚の反対側へ移動しても、上段にある玉が下段へ移るわけではありません。
そのため、今回であれば、上段中央にある緑の玉は、反対側から見ても上段にあります。
「上か下か」を先に固定してから、左右の変化を考える方法がおすすめです。
ポイント② 左右の見え方を考える
次に注目するのが左右です。
手前から見たときの左側と、反対側へ回ったときの左側は同じではありません。
そのため、
「反対側から見たら、今の左側はどちらに見えるだろう?」
と考えます。
今回のように、下段の左右に異なる色の玉がある課題では、左右の変化を確認しやすくなっています。
中央にある玉を基準にすると考えやすい
今回のプリントでは、緑の玉が上段中央にあります。
中央の位置は、反対側へ移動しても中央として確認できます。
そこで、まず緑の玉を基準にして、
「緑は中央のまま」
「では、オレンジと紫はどう見えるか?」
と考えると、情報を整理しやすくなります。
一度に3つすべてを変換しようとせず、変わらない部分を基準にするのも一つの方法です。
視点変換とは?
今回のように、見る人の位置が変わったときに、同じ物がどの位置に見えるかを考えることは、視点変換の一例として捉えられます。
日常生活でも、
- 向かい側の人から見た左右を考える
- テーブルの反対側から物を見る
- 部屋の反対側から家具を見る
- 別の方向から地図を見る
など、視点が変わる場面があります。
今回のプリントでは、棚と3色の玉を使って、こうした位置関係の変化を考えます。
「物を回す課題」とは違います
心的回転課題では、図形や配置そのものを頭の中で回転させます。
一方、今回の課題では棚は動きません。
移動するのは自分です。
つまり、
対象を回転させる → 心的回転
自分の見る位置を変える → 今回の視点変換
という違いがあります。
リハハウスの空間認知課題としても、回転課題とは別の形式で取り組めます。
1つの玉ずつ確認してみよう
難しい場合には、3つの玉を一度に考える必要はありません。
まず緑の玉だけを見ます。
次にオレンジ、その後に紫というように、1つずつ位置を確認します。
候補を比較するときも、
「緑の位置は合っているか」
「次にオレンジは合っているか」
「最後に紫を確認する」
という順番で見ると、消去法で答えを絞ることができます。
実物を使った練習にもつなげられます
視点の移動をイメージしにくい場合には、実際の物を使う方法もあります。
机の上に3つの色の違う物を並べ、最初に手前から位置を確認します。
その後、実際に机の反対側へ移動して見てみます。
すると、
「物は動いていないのに、左右の見え方が変わる」
ことを実際に確認できます。
プリントに取り組む前にこうした体験を入れる方法もあります。
リハビリ場面で見るポイント
作業療法などの机上課題として活用する場合には、正解だけでなく、どのように位置を整理しているかにも注目できます。
たとえば、
- 上段・下段を正しく確認しているか
- 中央の位置を基準にできているか
- 左右の変化を考えているか
- 棚そのものを動かして考えていないか
- 候補を順番に比較しているか
などです。
迷っている場合には、
「まず緑の玉はどこですか?」
「上と下は変わりますか?」
「では、オレンジは反対側からどちらに見えますか?」
など、問いを細かく分ける方法があります。
難易度をやさしくする方法
難しい場合には、
- 玉を2個に減らす
- 候補を2択にする
- 1段だけの棚にする
- 中央の玉を基準にする
- 実際に身体を移動して確認する
などの方法があります。
最初は実物や身体移動を使って確認し、慣れてきたら頭の中だけで考える方法へ移していくこともできます。
難易度を上げる方法
慣れてきた場合には、
- 玉を4個以上にする
- 棚のマスを増やす
- 中央に基準となる物を置かない
- 同じ色の玉を含める
- 右側や左側から見た配置を考える
- 複数の視点からの見え方を比較する
などの方法があります。
真正面と反対側だけでなく、横から見た場合を考える課題へ発展させることもできます。
使用するときの注意点
視点変換を使う課題では、答えを出すまでに時間がかかることがあります。
回答の速さだけを求めず、どのような方法で位置関係を整理しているかを確認しながら進めてください。
また、左右の理解や視覚的な見え方には個人差があります。
必要に応じて、実物を使用する、候補を減らす、プリントを拡大するなど調整してください。
疲労や集中力の低下がみられた場合には、無理に継続せず適宜休憩してください。
本プリントは高次脳機能障害や空間認知障害を診断するための正式な検査ではありません。本課題の結果だけで医学的な判断を行わないようにしてください。
まとめ|自分が反対側へ移動した場面をイメージしよう
今回紹介したプリントは、棚の中にある3色の玉を確認し、自分が反対側へ回り込んだときにどのように見えるかを考える空間認知課題です。
取り組む際には、
- 玉の位置を確認する
- 上段・下段を整理する
- 中央など変わりにくい位置を基準にする
- 左右の見え方を考える
- 候補と比較する
という流れで進めます。
対象を回転させるのではなく、自分の視点を移動させて位置関係を考えることが特徴です。
リハハウスでは、このほかにも空間認知・記憶・注意・遂行機能・半側空間無視・言語などの高次脳機能課題を公開しています。
対象者の状態や理解度に合わせながら、日々のリハビリテーションにご活用ください。

