このプリントは医療従事者の監修のもと作成されたもので、あくまで自主トレーニングの補助資料です。無理のない範囲で行い、症状や痛みがある場合は医療機関に相談しましょう。
こんな素材がほしい! もっとこんな素材を増やしてほしいなどがありましたら、リクエストしてください!
はじめに
図形は、向きが変わるだけで見え方が大きく変わります。
今回リハハウスでは、左側の見本となる図形を確認し、向きを変えても同じ形になる図形を4つの選択肢から探す空間認知課題プリントを作成しました。
各問題には、
- 見本となる図形
- ア・イ・ウ・エの4つの選択肢
- 図形上の黒い点
が配置されています。
見本と選択肢では図形の向きが異なるため、
「この図形を回転させると、どの形と重なるだろう?」
と考えながら答えます。
さらに、外側の形だけでなく、黒い点が図形のどの位置にあるかまで確認することがポイントです。
このように、図形や物体を実際には動かさず、頭の中で回転させた状態をイメージする認知処理は、一般に**心的回転(mental rotation)**と呼ばれます。
※本プリントは空間認知機能や高次脳機能を診断するための正式な検査ではありません。
この空間認知課題のやり方
プリントには4つの問題があります。
まず、それぞれの問題の左側にある「見本」を確認します。
その後、「ア・イ・ウ・エ」の図形を順番に比較し、
見本を回転させたときに、形と黒い点の位置関係が一致するもの
を探します。
取り組む際は、
- 見本の外形を見る
- 出っ張りやくぼみを確認する
- 黒い点の位置を見る
- 頭の中で図形を回転させる
- 選択肢と比較する
という順番で考えると整理しやすくなります。
今回の課題の特徴
1.向きが違っても同じ形かを判断する
今回のプリントでは、見本とまったく同じ向きの図形を探すわけではありません。
90度や180度など向きが変わっていても、回転させることで見本と一致するかどうかを考えます。
そのため、「見た目の向き」ではなく、
- 出っ張りの数
- くぼみの位置
- 縦横の長さ
- 図形全体の構造
などを確認することが大切です。
2.黒い点が重要な手掛かりになる
今回の図形には黒い点があります。
外形が似ていても、図形を回転させたときに黒い点の位置関係が変わってしまう場合は、見本と同じ図形ではありません。
たとえば、
- 点のすぐ横にくぼみがあるか
- 点から見て長い部分はどちらにあるか
- 点は角の近くにあるか
- 点の上下左右にどんな線があるか
などを見ると比較しやすくなります。
3.似ている図形を丁寧に見比べる
選択肢には、見本とよく似ている図形も含まれています。
全体の雰囲気だけで判断せず、特徴的な部分を一つずつ照合することがポイントです。
心的回転とは?
心的回転とは、図形や物体を頭の中で回転させ、向きが変わった状態をイメージする認知処理です。
日常生活でも、
- 地図を自分の向きに合わせて考える
- パズルのピースの向きを考える
- 荷物をどの方向で収納するか考える
- 家具を回転させた配置を想像する
など、向きを変えて考える場面があります。
今回のプリントでは、平面図形を使いながら、「向きが変わっても同じ形かどうか」を考える課題として取り組めます。
回転と反転の違いも確認しよう
このタイプの課題では、回転と反転の違いも重要です。
回転は、図形をそのままクルッと回した状態です。
一方、反転は鏡に映したように左右や上下が入れ替わった状態で、単純に回転させても元の図形とは一致しません。
迷ったときは、
黒い点 → くぼみ → 出っ張り
の順に位置関係を確認すると、違いを見つけやすくなります。
リハビリで活用するときのポイント
作業療法などの机上課題として使用する場合には、正解・不正解だけでなく、どの部分を手掛かりにして考えているかにも注目できます。
たとえば、
- 黒い点を基準に比較しているか
- 出っ張りやくぼみを確認しているか
- 選択肢を順番に比較しているか
- 見た目の向きだけで判断していないか
- 回転と反転を区別しているか
などです。
難しい場合には、
「黒い点の周りを見てみましょう」
「この出っ張りを右に回すとどこに来ますか?」
「一番特徴的なくぼみはどこですか?」
など、見る場所を限定して声をかける方法があります。
難易度をやさしくする方法
難しい場合は、次のように調整できます。
- 選択肢を4つから2つにする
- 黒い点を最初の手掛かりにする
- 特徴的な部分を一緒に確認する
- 実際にプリントを回転させて比べる
最初は紙そのものを回して確認し、ルールを理解してから、徐々に頭の中だけで考える方法へ移行するのも一つです。
難易度を上げる方法
慣れてきた場合には、
- 黒い点をなくす
- 図形をより複雑にする
- 選択肢を増やす
- 似た形の候補を増やす
- 制限時間を設ける
などの方法があります。
対象者の理解度や疲労に合わせて調整してください。
使用するときの注意点
心的回転を使う課題は、慣れていない場合には回答まで時間がかかることがあります。
正解までの速さだけを求めず、どの特徴を使って比較しているかを確認しながら進めることも大切です。
また、線や黒い点が見えにくい場合には、プリントを拡大して使用するなど、見やすさを調整してください。
疲労や集中力の低下がみられた場合には、無理に継続せず休憩を入れましょう。
本プリントは空間認知障害や高次脳機能障害を診断するための正式な検査ではありません。本課題の結果のみで医学的な判断を行わないようにしてください。
まとめ|図形の向きを変えて同じ形を見つけよう
今回紹介したプリントは、見本の図形を頭の中で回転させ、4つの候補から同じ形を探す高次脳機能の空間認知課題です。
課題では、
- 見本の形を確認する
- 出っ張りやくぼみを見る
- 黒い点の位置を確認する
- 頭の中で図形を回転させる
- 選択肢と比較する
という流れで取り組みます。
棚の中の位置関係を考える課題とは異なり、今回のプリントは図形そのものの向きを頭の中で変換して考える「心的回転」タイプの空間認知課題です。
リハハウスでは、このほかにも空間認知・記憶・注意・遂行機能・半側空間無視・言語などの高次脳機能課題を公開しています。
対象者の状態や理解度に合わせながら、日々のリハビリテーションにご活用ください。

