2026年10月28日、厚生労働省の第272回社会保障審議会介護給付費分科会で、2027年度(令和9年度)介護報酬改定に向けた地域区分の見直し案が示されました。
地域区分は、介護サービスの報酬単価に関係する仕組みです。そのため、訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションを運営する事業所にとっても、重要な改定項目の一つです。
今回の資料では、公務員の地域手当の変更に合わせた区分の見直しに加え、報酬単価の急激な変動を抑える経過措置などが提案されています。
この記事では、地域区分の基本的な仕組みと、今回の見直し案、リハビリ部門への影響をわかりやすく解説します。
※2026年10月29日時点の情報です。今回の内容は検討段階であり、2027年度の地域区分が正式に決定したものではありません。
1.介護報酬の「地域区分」とは?
介護報酬の地域区分とは、地域によって異なる人件費の水準を、介護サービスの報酬に反映させる仕組みです。
介護報酬は基本的に「単位数×1単位の単価」で計算されます。
この1単位の単価は、事業所の所在地やサービスの種類によって異なります。
例えば、2024~2026年度の地域区分では、次のような上乗せ割合が設定されています。
| 地域区分 | 上乗せ割合 |
|---|---|
| 1級地 | 20% |
| 2級地 | 16% |
| 3級地 | 15% |
| 4級地 | 12% |
| 5級地 | 10% |
| 6級地 | 6% |
| 7級地 | 3% |
| その他 | 0% |
ただし、上乗せ割合が10%だからといって、介護報酬全体がそのまま10%増えるわけではありません。
実際の1単位の単価には、サービスごとに設定される人件費割合も関係します。
2.2027年度の地域区分はどう変わる?
厚生労働省が示した主な見直し案は、次の3点です。
① 公務員の地域手当の見直しを反映
公務員の地域手当は、級地区分が従来の7区分から5区分へと段階的に見直されています。
介護報酬の地域区分も、この変更に準拠して見直すことが基本方針として示されました。
ただし、現行の介護報酬の地域区分が、そのまま全国一律に5区分へ変更されると決定したわけではありません。
② 2029年度末までの経過措置を提案
地域区分が変更されると、報酬単価が上がる地域だけでなく、下がる地域も生じる可能性があります。
そこで今回、自治体の希望に応じて、従来の上乗せ割合を維持することなどが可能な経過措置を、2029年度(令和11年度)末まで設ける案が示されました。
これは事業所の急激な収益変動を緩和するためのものです。
③ 隣接自治体との区分差も見直し
隣接する自治体間で地域区分に大きな差がある場合の特例についても、見直しが提案されています。
具体的には、現行の5級地差・4級地差に関するルールを見直し、新たに「3級地差ルール」を設ける方向です。
地域区分の違いによる人材確保への影響も、検討の背景にあります。
3.140自治体が現行の上乗せ割合の維持を希望
厚生労働省は2026年2月、市町村に対して地域区分の設定に関する意向調査を実施しました。
その結果は次のとおりです。
| 自治体の回答 | 自治体数 |
|---|---|
| 現行と上乗せ割合が変わらない | 1,088 |
| 現行より上乗せ割合が上がる | 438 |
| 現行と同じ割合の維持を希望 | 140 |
| その他 | 75 |
※上位2項目は、公務員の地域手当に準拠する場合の回答です。
140自治体が現行割合の維持を希望しており、地域区分の変更が各自治体の介護サービス運営に与える影響への関心がうかがえます。
ただし、この調査は2027年度の地域区分を確定したものではありません。
4.訪問・通所リハビリテーションへの影響は?
地域区分の見直しは、訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションの収益に影響する可能性があります。
両サービスの介護報酬では、地域区分による単価の計算に人件費割合55%が適用されています。
例えば、現行の計算方法に基づくと、上乗せ割合10%の地域では1単位10.55円、12%の地域では1単位10.66円となります。
同じ10,000単位を算定した場合、その差は1,100円です。
これは単価の仕組みを説明するための比較であり、特定の自治体で2027年度にこの変更が起こると確定したものではありません。
管理職が確認しておきたいポイント
今回の見直しに向け、訪問・通所リハビリの管理者は次の点を確認しておくとよいでしょう。
- 現在の地域区分:事業所所在地に適用されている級地と単価
- 収益への影響:地域区分が変更された場合の年間収益の試算
- 人員配置・採用計画:人件費の上昇やスタッフ確保への影響
特に複数地域で事業所を運営している場合は、各事業所の地域区分を個別に確認することが重要です。
5.2027年度の地域区分はいつ決まる?
2026年10月28日時点では、2027年度の市町村別地域区分は正式に決まっていません。
厚生労働省は、今後、自治体の意向を改めて確認したうえで、地域区分の設定を検討する方針です。
そのため、現段階で「自分の地域の介護報酬が上がる・下がる」と断定することはできません。
最新情報は厚生労働省の介護給付費分科会資料などで確認する必要があります。
まとめ
2027年度介護報酬改定に向けて、地域区分の見直し案が示されました。
今回の主なポイントは、公務員の地域手当の変更への対応、2029年度末までの経過措置案、隣接自治体との区分差に関する特例の見直しです。
地域区分は、訪問・通所リハビリテーションの収益にも関係するため、管理職は今後の動向を確認しておく必要があります。
ただし、現時点では検討段階です。
正式な地域区分が公表された後に、自施設への影響を具体的に検討することが重要になります。
参考資料・出典
- 厚生労働省「第272回社会保障審議会介護給付費分科会(2026年10月28日)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76726.html - 厚生労働省「資料3 地域区分(改定の方向性)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001763384.pdf - 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38790.html
※本記事は公的資料をもとにリハハウスが独自に整理した情報です。制度の最終決定内容や個別の報酬算定については、最新の公式通知をご確認ください。

