このプリントは医療従事者の監修のもと作成されたもので、あくまで自主トレーニングの補助資料です。無理のない範囲で行い、症状や痛みがある場合は医療機関に相談しましょう。
こんな素材がほしい! もっとこんな素材を増やしてほしいなどがありましたら、リクエストしてください!
高次脳機能障害のリハビリでは、複数の情報の中から必要なものだけを選び、一定のルールに沿って処理する注意課題が用いられることがあります。
今回のプリントは、STARTから順番に荷物を確認し、緑色のランプがついた荷物の矢印だけを選んで、答え欄へ書き写す注意機能課題です。
赤色と黄色のランプは飛ばし、緑色の場合のみ矢印の方向を確認します。そのため、単純な視覚探索だけでなく、選択性注意、持続性注意、ルール保持、順序の追跡、方向判断などを組み合わせて取り組む内容になっています。
作業療法士(OT)や言語聴覚士(ST)などが行う高次脳機能リハビリの机上課題、自主課題として活用できます。
※本プリントは注意障害や高次脳機能障害を診断する正式な検査ではありません。対象者の状態に合わせ、専門職の判断のもとでご活用ください。
緑色のランプがついた矢印だけを書きます
プリントには、ベルトコンベアの上に複数の荷物が並んでいます。
各荷物には上下左右いずれかの矢印が描かれ、その上には赤・黄・緑のランプがあります。
STARTからGOALへ向かって順番に確認し、緑色のランプがついている場合だけ、その矢印を答え欄へ書きます。
赤色や黄色の場合は何も書かず、次の荷物へ進みます。
「見る」「色を判断する」「必要な対象だけ選ぶ」「方向を確認する」「書き写す」という複数の処理を連続して行うことが、この課題の特徴です。
選択性注意を意識したリハビリ課題
今回のプリントで中心となるのが、選択性注意です。
選択性注意とは、複数の刺激や情報が存在する中から、必要な情報へ注意を向ける働きを指します。
この課題では、すべての荷物に矢印が描かれています。しかし、矢印が見えたからといって、すべてを書いてよいわけではありません。
まずランプの色を確認し、**「緑色なら答える」「赤・黄なら飛ばす」**というルールに従って判断する必要があります。
不要な情報に反応せず、条件に一致するものだけを選ぶ点が、単純な矢印探しとは異なります。
視覚探索と順序の追跡も必要です
このプリントでは、紙面全体から緑色だけを自由に探すのではなく、STARTからベルトコンベアの流れに沿って順番に確認する必要があります。
途中で一つ飛ばしたり、同じ荷物を二度確認したりすると、答え欄の順番がずれてしまいます。
そのため、
「今どこを見ているのか」
「次にどこを見るのか」
を意識しながら進めることも重要です。
視覚探索に加えて、一定の探索方向を保ちながら対象を追跡する課題として使用できます。
持続性注意やルール保持にも注目
START付近では正確にできていても、後半になるにつれて見落としが増えたり、赤色や黄色の矢印まで書いてしまったりすることがあります。
そのため、専門職が使用する場合には、正答数だけでなく、後半まで注意とルールを維持できているかにも注目できます。
特に「緑色を選ぶ」というルールを途中で忘れていないか、確認せず矢印だけを見て反応していないかを見ることで、課題への取り組み方を把握しやすくなります。
リハビリ専門職が観察したいポイント
課題中は、緑色だけを選択できるか、赤・黄を適切に飛ばせるか、STARTから正しい順番で探索できるか、矢印の方向を正しく転記できるかなどを確認します。
また、見落とし・飛ばし・重複・条件違反・方向の誤りがどのように出現するかを見ることも重要です。
誤りに自分で気づいて修正できるか、指差しや声かけがどの程度必要かも、課題の難易度を調整する際の参考になります。
難しい場合の調整方法
一度にすべて行うことが難しい場合は、最初の1列だけに範囲を限定したり、現在見る場所を指で示したりします。
また、
「まず色を確認してから、矢印を見ましょう」
と声をかけ、色の判断と方向判断を分ける方法もあります。
最初は「緑色の荷物を見つけるだけ」にして、慣れてから矢印を書き写すようにすると、段階的に取り組みやすくなります。
慣れてきたら条件変更も可能
正確に取り組めるようになった場合には、同じプリントを利用して「黄色だけ答える」「赤色だけ答える」など、条件を変更する方法もあります。
最初に覚えたルールとは異なる条件へ切り替えることで、課題の難易度を調整できます。
ただし、対象者によっては条件変更が負担になることもあるため、疲労や誤答の増加を確認しながら実施してください。
注意課題として使用するときの注意点
本プリントの成績だけで注意機能の状態を判断することはできません。
矢印の方向理解、視覚認知、記憶、書字、指示理解、遂行機能など、複数の要素が課題結果に影響する可能性があります。
間違えた場合も、すぐ正解を教えるだけでなく、
「書くのは何色でしたか?」
とルールへ注意を戻す声かけを行うことで、自分で修正できるか確認できます。
まとめ|条件に合う情報を選択する注意機能課題
今回のプリントは、STARTから順番に荷物を確認し、緑色のランプがついた荷物の矢印だけを答え欄へ書き写す注意課題です。
順番に見る → 色を判断する → 対象を選択する → 矢印の向きを確認する → 書き写す
という流れを繰り返します。
選択性注意、持続性注意、視覚探索、ルール保持などを意識した高次脳機能リハビリの机上課題としてご活用ください。
リハハウスでは、このほかにも注意障害のリハビリ課題、選択性注意課題、視覚探索課題、記憶課題、遂行機能課題などを公開しています。

