2026年10月15日、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)の3職能団体で構成する「リハビリテーション専門職団体協議会」が、2027年度(令和9年度)介護報酬改定に向けた要望書を厚生労働省に提出しました。
今回の要望では、PT・OT・STの処遇改善やリハビリテーション報酬の引き上げなど、計17項目が挙げられています。
リハビリ専門職の給与や勤務環境、介護サービス事業所の経営に関係する内容として注目されます。
本記事では、今回の要望内容と今後の注目点を簡潔に解説します。
※2026年11月2日時点の情報です。要望が提出された段階であり、給与引き上げや報酬改定の内容が決定したわけではありません。
1.PT・OT・STの3団体が処遇改善を要望

今回の要望書を提出したのは、以下の3団体で構成するリハビリテーション専門職団体協議会です。
- 日本理学療法士協会
- 日本作業療法士協会
- 日本言語聴覚士協会
要望書は2026年10月15日に厚生労働省老健局老人保健課へ提出され、10月21日に日本理学療法士協会から公表されました。
主な要望内容
| 分野 | 主な要望 |
|---|---|
| 処遇改善 | 介護領域で働くPT・OT・STの待遇改善 |
| 報酬 | 物価や経済状況を踏まえたリハビリ報酬の引き上げ |
| 訪問リハ | 診察要件の見直し、提供体制の拡充 |
| 訪問看護 | リハ専門職による訪問の適切な評価 |
| 施設サービス | 生活機能向上連携加算などの見直し |
| 業務改善 | 介護職員の生産性向上に関わるリハ専門職の取り組みの評価 |
17項目のうち8項目は重点項目に指定されています。
処遇改善だけでなく、訪問リハビリテーションの提供体制や、介護施設における専門職の役割も幅広く取り上げられています。
2.2027年度介護報酬改定でPT・OT・STの給与は上がる?

今回の要望では、介護領域のPT・OT・STの処遇改善が最初の項目として挙げられています。
しかし、2027年度介護報酬改定による給与引き上げが決まったわけではありません。
介護報酬の改定内容や処遇改善に関する制度の具体的な方向性は、今後の審議を確認する必要があります。
また、仮に事業所の報酬が引き上げられたとしても、そのことだけでスタッフ個人の給与が一律に上がるとは限りません。
給与への影響を判断するには、最終的な制度内容と各事業所の賃金制度を確認することが必要です。
3.訪問リハビリや介護施設への影響は?
今回の要望では、処遇改善以外にも注目したい項目があります。
訪問リハビリテーション
訪問リハビリテーションの診察要件の見直しや、中山間・人口減少地域におけるサービス提供体制の拡充などが重点項目となっています。
今後の制度改定によっては、訪問リハビリ事業所の運営やサービス提供方法に影響する可能性があります。
介護施設・通所サービス
介護施設では、生活機能向上連携加算の対象拡大や、通所介護などでのADL維持・向上に関する取り組みの評価が要望されています。
また、介護職員の生産性向上に貢献するリハ専門職の取り組みについても、評価の推進が求められています。
これらはPT・OT・STの専門性を介護現場でどのように活用するかという点でも、注目したい内容です。
4.リハビリ部門の管理職が確認したいこと
今回の要望を踏まえ、リハビリ部門の管理職は次の3点を確認しておくとよいでしょう。
① スタッフの給与・待遇
現在の給与体系や昇給制度、勤務環境を把握し、人材確保や定着に関する課題を整理する。
② 事業所の収益構造
訪問・通所リハビリテーションなどの算定状況を確認し、報酬が変更された場合の影響を検討できるようにする。
③ 専門職の役割と業務内容
リハ専門職の配置や介護職員との連携、ADL向上への取り組みなどを振り返る。
制度変更が決定してから対応するのではなく、現状を把握しておくことが重要です。
まとめ
2027年度介護報酬改定に向けて、PT・OT・STの3職能団体が処遇改善など17項目を要望しました。
今回の要望は、リハビリ専門職の給与・待遇だけでなく、訪問リハビリテーションや介護施設の運営にも関係する内容です。
ただし、現時点では要望段階であり、給与や報酬の引き上げが決定したわけではありません。
今後、厚生労働省の介護給付費分科会などで、どのような議論が進むか注目されます。
参考資料・出典
1.日本理学療法士協会(一次資料)
「リハビリテーション専門職団体協議会において令和9年度介護報酬改定に向けた要望書を厚生労働省に提出しました」(2026年10月21日公表)
https://www.japanpt.or.jp/activity/procedure/04290.html
2.日本理学療法士協会(公式発表)
「政策活動レポート」(2026年10月21日)
https://www.japanpt.or.jp/info/20261021_262.html
3.厚生労働省
「社会保障審議会 介護給付費分科会」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126698_00022.html
4.POST(関連報道)
「リハ3協会が介護報酬で17項目要望 訪問リハ診察要件の見直しも」(2026年10月23日)
※本記事は公表資料をもとに、リハハウスが独自に整理したものです。制度改定の正式な内容は、厚生労働省の最新資料をご確認ください。

